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2020年5月6日

Stroke誌:デルタ脳波は回復のあかし


Low-Frequency Oscillations Are a Biomarker of Injury and Recovery After Stroke
2020  4月  アメリカ

脳卒中後の運動機能の障害程度は、梗塞の大きさや皮質脊髄路への損傷の大きさをみると予想がつく。

さらに最近の研究では脳波の低周波成分(デルタ周波数)が脳の損傷を反映すると同時に、正常時の活動にも特徴的に見られるという。

そこで デルタ周波数帯の脳波と、脳卒中後の脳の損傷程度と運動機能回復との関連についてくわしくしらべてみたそうな。




リハビリ入院している患者を含む脳卒中患者62人について、安静時の脳波を記録した。

損傷脳半球側の運動野 iM1 との脳波強度と同期度(コヒーレンス)をデルタ(1~3Hz)およびハイベータ(20~30Hz)周波数帯にフォーカスして解析した。



次のことがわかった。
・すべての患者で、梗塞体積が大きいと両半球のデルタバンドパワーも大きく、かつiM1と両側間のデルタバンドコヒーレンスも高かった。

・慢性期の脳卒中では、両側のデルタバンドパワーが大きいと運動改善状態が良かった。

・亜急性期の脳卒中では、iM1と両側間のデルタバンドのコヒーレンスが高いことは、運動状態の悪化と関連していた。

・これら脳波コヒーレンスの特徴は、入院中のリハビリテーション施設の患者18人で確認された。

・iM1と対側cM1の半球間コヒーレンスは、リハビリテーション施設入所時に健常者群(n=22)と比較してあきらかに高く、時間の経過とともに低下した。

・iM1と対側cM1の半球間コヒーレンスの低下は、良好な運動回復と関連していた。

損傷脳半球の運動野とのデルタバンドコヒーレンスは亜急性期での運動機能の悪化と関連し、慢性期のデルタバンド強度は運動機能回復の良好さと関連していた。
脳波のデルタバンドは脳卒中からの回復を反映していると考えられる、



というおはなし。

図:慢性期のデルタパワーと運動機能


感想:

10年前に左手足がうごかなくなったときも、「デルタバンドにはなにかある」と思ったんよ。

麻痺上肢をうごかす運動準備低周波振動とは

nature.com:手が動くために必要な脳の低周波活動とは

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