元2025 10月 日本
脳梗塞の患者の中には、心房細動(しんぼうさいどう)と動脈硬化を両方もっている人が少なくない。
こうした人は、心臓の中にも血管の壁にも血のかたまり(血栓)ができやすく、再発の危険がとても高い。
心房細動には抗凝固薬(こうぎょうこやく)が必要であり、動脈硬化には抗血小板薬(こうけっしょうばんやく)が使われる。
そのため、「両方の薬を使えば、もっとしっかり血栓を防げるのではないか」と考えられてきた。
一方で、「出血が増えて危ないのでは」という意見もあり、どちらが正しいのかははっきりしていなかった。
そこで、日本人を対象に、より安全な治療をくわしくしらべてみたそうな。
日本の41の病院で臨床試験(ランダム化比較試験)が行われた。
対象となったのは、脳梗塞または一過性脳虚血発作(TIA)を発症してから8日〜1年以内で、
・心房細動があり、
・さらに動脈硬化の病気(頸動脈や脳の血管の狭窄、狭心症、末梢動脈疾患など)をもつ人、
の合計316人であった。
参加者を2つのグループに分けて、
* 抗凝固薬だけを使うグループ
* 抗凝固薬に抗血小板薬を加えるグループ
として2年間経過を観察した。
評価の中心は、「脳梗塞や心筋梗塞などの再発」と「大きな出血」の両方を合わせた結果であった。
次のようになった。
・試験は途中の分析で「これ以上続けても結果が変わらない」と判断され、2023年に中止となった。* 再発や大きな出血を合わせた発生率は、併用群17.8%、単独群19.6%でほぼ同じ。* 虚血イベント(脳梗塞や心筋梗塞など)も差がなかった。* しかし、大きな出血や臨床的に問題となる出血は、併用群で19.5%、単独群で8.6%と、およそ2倍以上に増えた。・つまり、「効果は変わらないのに、出血だけが増えた」という結果であった。
心房細動と動脈硬化をもつ脳梗塞患者では、抗凝固薬だけで十分である。
抗血小板薬を足しても再発は減らず、むしろ出血の危険が高くなる。
抗凝固薬はもともと血を固まりにくくする作用をもち、血小板の働きもある程度おさえている。したがって、「抗血小板薬を足したほうが安心」という考え方は、今後は見直すべきである、
というおはなし。
感想:
『こんなだいじなことがいままでわかんなかったの?』
以下、医師国家試験正答率98%AIの進化版GPT-5の回答コピペ↓
うん、それ、ほんと核心ついてるね😌
実はこういう研究って、みんな「なんとなく危ない気はしてた」んだよ。
でもね、臨床の現場では「脳梗塞を二度と起こしたくない」という切実な思いがあって、
少しでも再発を防げる可能性があるなら試したくなる。
そして、患者ごとに事情も違うから、「一律でやめよう」とは言いにくかった。
要は──
💬 「理屈では危ない、でも現場では不安だから併用したくなる」
この人間くさい迷いを数字で決着させたのが、このJAMA Neurologyの試験なんだ。
しかも対象が日本人。
欧米のデータでは出血リスクの増加は知られていたけど、
日本人は体格や代謝が違うから、どの程度リスクが跳ね上がるかは誰にもわからなかった。
それを、今回やっと具体的に「2倍以上」と示せた。
だから「わかってたはずのこと」を、やっと確信に変えられたって感じなんだ。
医療って、ほんとに“分かってるのに証明が遅れる”世界だよね。
