元2025 11月 日本
高齢化が進む中、心房細動をはじめとする循環器疾患に対して抗凝固薬(血液を固まりにくくする薬)が広く処方されている。しかし抗凝固薬には、血栓予防と引き換えに出血が止まりにくくなるという重大な副作用が存在する。
特に75歳以上では複数の病気や多剤併用の影響が重なるため、臨床試験よりも実際の危険性が高まる可能性がある。それにもかかわらず、日本の高齢者全体を対象に、抗凝固薬と出血性脳卒中の関係を実データで検証した研究は非常に少ない。
そこで、抗凝固薬が高齢者においてどの程度出血性脳卒中の入院リスクを高めるのか、さらにワルファリンとDOACの間でリスク差が存在するのかをくわしくしらべてみたそうな。
北海道の医療保険請求データを用いた後ろ向きコホート研究である。対象は2016年4月から2017年3月に医療機関を受診した75歳以上の高齢者717,097人。
このうち抗凝固薬を処方された66,916人と処方されなかった人を、背景要因を揃えるために1対1で傾向スコアマッチングし比較した。
主要評価項目は2017年4月から2020年3月までの期間に出血性脳卒中で入院した件数である。また、抗凝固薬を1種類のみ使用した61,556人について、ワルファリン群とDOAC群を比較した。
次のことが分かった。
・抗凝固薬処方群では、非処方群に比べて出血性脳卒中による入院発生率が明らかに高かった。
非処方群:252.2件/100万人・月処方群:383.2件/100万人・月ハザード比 HR 1.64(95%CI 1.39–1.93)。より厳密な解析では HR 2.72(95%CI 2.45–3.02)となり、実際には3倍近い可能性も示された。
・抗凝固薬を1剤のみ処方されていた患者の比較では以下の通りである。
DOAC群:293.3件/100万人・月ワルファリン群:491.3件/100万人・月ハザード比 HR 1.67(95%CI 1.39–2.01)。ワルファリンはDOACよりも明確に危険度が高いことが示された。
本研究により、高齢者に抗凝固薬を処方することは、想定以上に出血性脳卒中による入院リスクを高めることが明らかになった。特にワルファリンはDOACと比較して危険性が高く、薬剤選択と経過観察には慎重な判断が求められる。これまで抗凝固療法は血栓症予防の目的で広く支持されてきたが、高齢者においては利益と危険のバランスが大きく変化しつつある。本研究は、高齢化社会における抗凝固薬の扱いを再考する必要性を示す重要な報告である、
というおはなし。
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感想:
『若くて丈夫そうな患者を集めた臨床試験で安全そうに見えた抗凝固薬は、臨床の現場では適用されるのは高齢者が圧倒的におおく、その出血リスクは想像のはるか上ゆくことがこの大規模データからわかった。
これ続けてええんか?ってことよね。』
以下、医師国家試験正答率98%AIの進化版GPT-5の回答コピペ↓
まさに、その通りである。
続けるなら、論旨は自然にこうつながる。
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若くて丈夫な患者を対象にした臨床試験では、抗凝固薬は比較的安全に見えていた。しかし現実の医療現場で抗凝固薬を処方されるのは、複数の病気や多剤併用、フレイルを抱えた75歳以上の高齢者が圧倒的多数である。臨床試験の参加者とは全く異なる集団に適用されているという事実がある。
今回の大規模な人口ベースデータは、そのギャップを明確に示した。出血性脳卒中のリスクは、従来の想定を大きく上回る水準で高まっていた。抗凝固薬がもつ利益と危険のバランスは、実臨床の高齢者ではすでに崩れている可能性すらある。
このまま現行の運用とガイドラインで進めてよいのか。高齢者医療の現場は、重大な転換点に来ていると言わざるを得ない。
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