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2025年12月30日

救急のめまい、脳卒中は1%台。それは安心できる数字なのか

2025  12月  アメリカ


救急外来では「めまい」を訴える患者はとても多く、全体の2〜4%を占めると言われている。その一方で、めまいの原因として脳卒中や脳出血、脳腫瘍などの重い病気が隠れていることもあるため、見逃さないことが重要である。

しかし、めまいの症状は人によって表現がまちまちで、「ぐるぐるする」「ふらつく」など曖昧な訴えも多く、救急の現場では判断が難しい。こうした背景から、CTやMRIといった画像検査がよく行われているが、実際には異常が見つかる割合は高くないと報告されてきた。

そこで、現実の救急診療において、めまい患者に行われた画像検査でどのくらい重要な病気が見つかっているのか、また、どのような症状や所見が中枢性の病変と関係しているのかをくわしくしらべてみたそうな。



過去の診療記録をさかのぼって調べた後ろ向き研究である。
2016年から2025年までの約9年間に、14の救急病院で「めまい」を理由に頭部の画像検査を受けた成人患者を対象とした。
対象となった患者は4,135人、行われた画像検査は5,445件で、その約9割はCT、約1割がMRIであった。
画像検査の結果をもとに、
・すぐ対応が必要で、めまいの原因になっている病変
・すぐ対応は必要だが、めまいの原因ではない病変
・急ぎではないが対応が必要な病変
・特に問題のない所見
の4つに分類した。あわせて、めまいがずっと続いているか、断続的か、発症からの時間、神経学的な診察所見(HINTSや小脳の異常)との関係も調べた。



次のことが分かった。

・5,445件の画像検査のうち、約95%は正常、もしくは臨床的に大きな意味を持たない所見であった。

・治療や追加対応が必要と判断された所見は全体の2.1%にすぎず、めまいの原因となる急性の中枢性病変は1.2%であった。脳卒中は全体の約1.3%に認められた。

・一方で、脳卒中など中枢性の病変が見つかった患者では、「めまいがずっと続いている」「発症から24時間以内」「眼の動きや小脳の診察に異常がある」といった特徴がはっきりしていた。これらの患者のほとんどは専門医に相談され、実際に治療が行われていた。

・反対に、めまいが断続的だったり、自然に治まっていた患者では、良性の末梢性めまいと診断されることが多かった。


救急外来でめまいを理由に行われる画像検査の多くは、結果として大きな異常を示さない。しかし、持続する急性のめまい、発症から24時間以内、神経学的診察での異常がそろう場合には、脳卒中などの中枢性病変が見つかる可能性が高い、


というおはなし。

めまいなの



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感想:

『MRI撮ったらめまい患者の44%が脳卒中だったという報告(https://doi.org/10.1002/acn3.70195)があります。 こんかいの研究はほとんどがCTでの診断です、ようするに臨床現場ではめまい患者をさっさと家に帰したいんでしょうね。』



以下、医師国家試験正答率98%AIの進化版GPT-5の回答コピペ↓



その見立てには「当たっている部分」と「数字の背景でズレて見える部分」が混在しています。順に確認します。

1) まず、あなたが挙げたMRI研究(doi:10.1002/acn3.70195)は、一般的な救急外来の“めまい全般”というより「神経救急(neuroemergency)に来た急性めまい患者」を連続登録し、しかも大半(急性めまい全体で92%)にMRIを回しています。さらに「神経所見なしの“isolated dizziness”」に絞っても、脳卒中は27.9%(36/129)です。いわゆる“高リスクに寄った母集団”なので、MRIで拾える脳卒中が多く見えるのは自然です。CTの感度は0.519、MRIは0.939と報告されており、CTだけだと見逃しが相当出る、という結論になります。

補足:あなたの「44%」は、この論文だと“めまい患者全体(251例)のうち脳卒中が44.2%”の数字で、isolated dizzinessに限った44%ではありません。

2) 一方、こちらの論文(Emergency Radiologyの大規模後ろ向き)は、「救急外来で“vertigo”を理由に実際にオーダーされた画像検査(n=5,445)を俯瞰」しています。画像は約89%がCT系、MRIは約11%にとどまり、結論として「急性でめまいの原因になっている中枢性の所見は稀で、脳卒中は約1.3%」という整理です。さらに、どのモダリティがどれくらい使われたかも表で明示されていて、MRI Brain/IACは8.4%です。

3) ここがポイントで、両者は「同じ“めまい”でも、母集団と診断戦略が違いすぎて、脳卒中率をそのまま比較できません」。

  • MRI研究:神経救急に集まる急性めまい(選別が強い)+MRIをほぼ全員に実施 → 脳卒中が多く見える。CTは感度が低いので“CTでは陰性扱い”が増える。
  • CT中心の大規模研究:一般救急の「画像オーダーされたvertigo」を横断(多くはCT/CTA)→ そもそも“真の中枢性”が少ない層が大きく混ざるので、脳卒中率は低く出る。しかも「画像の診断収率は低い」「放射線・偶発所見・不要介入の害もある」と明確に書いています。

では「現場は早く帰したいだけか?」について。半分はシステム要因(混雑、MRI枠、搬送導線、鎮静や禁忌など)で、半分は臨床合理性です。未選別のめまいにMRIを無差別に当てると、費用と偶発所見の害が増える一方で、利益が薄い層が大量に含まれるためです。だからガイドラインは「ベッドサイド所見(HINTSや小脳徴候)やリスクで選択的に画像」という方向に寄っています。

あなたの主張をより刺さる形に整えるなら、こう言い換えると強いです。
「CT中心の運用は“帰したい”というより、“低リスク層を素早く安全に振り分けるためのコスト最適化”であり、その代償として『後頭蓋窩の小梗塞をCTは拾いにくい』という構造的見逃しリスクを内包する。だから勝負どころは画像ではなく、持続性の急性めまい+眼振/Head impulse/Skewなどの所見で高リスクを抜き出し、そこにMRIを集中させることだ。」




 

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