リハビリ病院に転院して、
歩行訓練の始まってしばらくしたときのこと。
時間のある時に看護師付き添いが条件で、
病棟の廊下を歩行訓練してもよい、ということになった。
杖をついて歩けることにうれしくて、
あるとき看護師に付き添ってもらって
調子にのって廊下をグングン歩いてみた。
通り過ぎる部屋の中をフッと覗いたところ、
頭の中が
もう その部屋の分析でいっぱいになってしまい、
足の運びに注意が向かなくなってしまった。
こりゃマズイな…と思う間もなく、
姿勢を崩し廊下に向かって倒れこみ始めてしまった。
とっさに足も手も出すこともできずに
顔面強打は必至、と思った。
でもそこはプロの看護師さん。
サッと抱きかかえてくれてその場は事無きを得た。
その後からが大変で、
すっかり歩行恐怖症になってしまった。
杖をつきながら歩行訓練していると、
隣に療法士がいるにも関わらず、
"またバランスを崩したらいったいどうなってしまうのか…"
"この足が突然制御が利かなくなって倒れてしまうのではないか…"
"脳がどうかしてしまったのではないか…"
という思いがすごい勢いで頭の中に渦巻くようになり、
その恐怖心を抑えることができないような気がして
身体が震えてしまうのである。
いま思うと、パニック障害ってこんな感じかな、と思う。
ビルの屋上のふちを歩いているような、
長さ10mの竹馬に乗っているような、
そんな恐怖感をもった。
かーなり怖かった。
でもね、克服する方法を見つけるのも早かった。