車椅子に乗りはじめたころ、
おなじフロアにいた若い女性の乗っている車椅子が
全体が黒っぽくて、フレームが細く、
樹脂製の部品を多く使った 軽そうで
どことなくスポーティーな感じがするものであった。
しばらくすると、廊下で見かけるたびに
その車椅子がやたらカッコよく見えて、
あぁ あんなのに乗りたいな~ と思うようになった。
そして、
退院したらもっといいのを買うぞ!
などと妙な決心もした。
車椅子が必要でなくなった今、 思い返してみると
実にオカシナことを考えていたものだ…とつくづく思う。
歩きの上手な患者の杖をみて、
あんな感じのイイ杖を買うぞ! と意気込んだこともあった。
狭い世界に居ると、価値基準のレベルがどんどん下がってくる。
この病気のおかげで、
車椅子や杖の例以外にも、オカシイと思えることがいくつも出てきた。
でも町でNSXを見かけると、いまだにカッコいいと思うし、いつか買うぞ、とも思う。
これが いまの自分の限界かな。