元2025 5月 イタリア
脳卒中のあとに起きる認知の問題は人によってさまざまであり、脳の損傷部位と症状の重さが必ずしも一致しない。このギャップは、従来「脳の予備力(リザーブ)」がうまく働くことで、見かけ上は軽く済んでいると説明されてきた。
しかし、そのような説明だけではすべてのケースを理解するには不十分である。とくに、日常生活では問題が生じているにもかかわらず、標準的な検査では「異常なし」と判断される患者が少なくない。そこで本研究では、「見かけ上は問題がないが、実際には潜在的な障害がある」状態に着目した。
そこで、マルチタスク(二重課題)のように脳にとって負荷の大きい状況をつくり出すことで、普段は見えない認知障害、特に左右の空間への注意のかたより(=半側空間無視に類似した症状)があらわれるのではないかという仮説を立て、くわしくしらべてみたそうな。