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2018年8月19日

つぎの脳動脈瘤がみつかってしまったら


Impact of Aneurysm Multiplicity on Treatment and Outcome After Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage
2018  8月  スイス

脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血患者の20-33%は複数の脳動脈瘤(多発脳動脈瘤:MIA)を持つという。単発の脳動脈瘤(SIA)とくらべたときのMIAの予後や治療方針については未だあきらかになっていない。

そこでスイスのくも膜下出血患者データベース(Swiss Study of Subarachnoid Hemorrhage:SOS)を使ってくわしくしらべてみたそうな。


2009-2014のくも膜下出血で初日に死亡しなかった動脈瘤を手術済みの1689人について
MIAまたはSIAでの
あらたな脳卒中の発生、機能回復度、死亡率との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・26.4%がMIAの患者だった。

・あらたな脳卒中の発生は 19.3% vs 15.1でMIAグループにおおかった。

・局所的な神経障害もMIAグループであきらかにおおかったが、

・機能回復度、生存率の点でMIAとSIAでグループ間の差はなかった。

多発脳動脈瘤のくも膜下出血患者では短期的にあらたな脳卒中を起こす率は高かったものの、機能回復度や生存率に悪影響をおよぼすことはなかった、


というおはなし。
図:多発脳動脈瘤の死亡リスク

感想:

読むと あらたにみつかった未破裂の脳動脈瘤(bystander aneurysms)のほぼ8割が追加の手術でクリップかコイルをしている。

未破裂だから放置しておいてもいいはずなのに手術率が高い。おそらくはこういう↓こと。

患者は最初の動脈瘤で手術への心理的ハードルが低くなっているので追加の手術を受け入れやすい。しかも未破裂とはいっても もはや健常者ではないので手術に失敗しても言い訳がたつ。
これらの状況が手術経験の少ない医師への練習台需要とマッチするため、高率で手術がなされるのだと考える。

脳に動脈瘤がいくつもできる人の特徴

脳動脈瘤は次から次へとできてしまうの?

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