元2020 6月 スペイン
脳内出血のばあい、その診断と治療のタイミングが予後におおきく影響するかどうかは実はよくわかっていない。
そこで、脳内出血の発症から高度な治療のできる包括的脳卒中センター(comprehensive stroke centre)へ入院するまでの時間と回復度との関連をくわしくしらべてみたそうな。
2005-2017の脳内出血患者のうち、
発症時間が不明、発症まえにmRSが3より大、発症24時間以内に生命維持中止になった患者を除いて、
発症から入院までの時間と、90日後の回復度および死亡率との関連を解析したところ、
次のことがわかった。
・487人の患者が対象となった。・入院までにかかった時間が110分を超える患者にくらべ、110分以下の患者は若く、神経症状が重かった。・さらに、110分以下の患者は大脳基底核の出血がおおかった。・しかし入院までの時間と90日後の回復良好(mRS3以下)および死亡率とのあいだに関連はみられなかった。
脳内出血の発症から110分以下での早期入院の患者と90日後の状態とのあいだに関連はみられなかった。これは現在の脳内出血治療には効果的な方法がないことが理由と考えられる、
というおはなし。
感想:
脳梗塞へのtPA治療のわずか数%の適応事例をもって世界中でFASTキャンペーンを打ち、脳卒中は早期発見、早期治療が可能であると人々に思い込ませることに成功した。
ところが脳内出血は早くに入院してもできることがほとんどなかったってこと。
これはくも膜下出血もまったくおなじ。
しかし脳卒中患者がすぐに入院してくれるようになったおかげで、新鮮な臓器を得るチャンスが増えたのは移植を待つ患者にとっては望外の喜び。
