元2021 5月 スイス
近年、情動処理に小脳がかかわっていることがあきらかになってきた。
小脳梗塞になると音声の感情(感情韻律)認識が困難になることが報告されている。
しかし、これらの感覚と高次認知機能障害との相互作用や、感情韻律処理における小脳半球の特殊性についてはあきらかになっていない。
そこで、小脳の右または左半球に損傷のある患者の感情韻律の認識能力をくわしくしらべてみたそうな。
左小脳梗塞の11人、右小脳梗塞の13人、および年齢 性別 教育レベル 利き手のマッチした対照群24人について、
怒り、恐れ、幸福、中立、悲しみ、の感情韻律認識テストと、ボクセルベースの病変-症状マッピングをもちいて関連を解析した。
次のことがわかった。
・左右いずれの梗塞群でも感情韻律の認識に障害がみられた。・とくに中立、悲しみの韻律について、右小脳損傷の患者で誤認識がおおかった。・マッピングにより、誤認識は右Lobules Ⅶb-Ⅷ および 右Crus I-IIの損傷と関連していることがわかった。・この誤認識のかなりの部分が、音響の高さ、音量、周波数分布により影響された。