元2021 8月 イギリス
グレードの悪いくも膜下出血であっても、数カ月後には神経認知機能が改善することがおおい。
しかし、動脈瘤手術のタイミングと長期転帰との関連についてはよくわかっていないので、くわしくしらべてみたそうな。
2011-2016年のWFNSグレード4-5の重症くも膜下出血患者の記録について、
脳動脈瘤治療を24時間以内におこなった(IM)群と
24時間以降におこなった(DM)群での、
12ヶ月後までの転帰を比較した。
次のようになった。
・111人の患者が対象となり、48%がIM群、52%がDM群だった。・患者照会から手術までの平均時間は、IM群14.9時間、DM群79.6時間だった。・退院から12ヶ月後の良好転帰(GOS4-5)の割合は、両群で差はなかった。・12ヶ月後の生存率は、IM群 71.7%、DM群 82.8%であったが、有意なほどの差ではなかった。
くも膜下出血から24時間以内に動脈瘤治療をした患者の12ヶ月後の良好転帰率は、遅れて治療した場合よりも優れたものではなく、生存率はむしろ低かった。もっとゆっくりでいいんじゃない?
というおはなし。
感想:
じぶんも勘違いしていたんだけど、
くも膜下出血のあとに行うクリップやコイルの手術は、担ぎ込まれた患者の窮迫した状況を改善するためのものではない。
わかりやすく言うと、現在進行中の出血を止めるためのものではなくて、(出血は自然に止まる)
数週間もしくは何年かあとに起きるかもしれない「再出血」をふせぐための手術である。
だから緊急性は少なく、発症後2週間くらいはこの手術をしなくても影響はないとされている。
たとえば治療ガイドラインにはコイル手術は15日以内にやればOKとある。(ページ202)
しかも、この再出血予防手術の有用性を証明する臨床試験がこの世に存在しないことも、治療ガイドラインには記されている。(ページ193)
ではなぜ今回の研究のように、不要不急とも言える手術をすぐにやりたがるのか?
他にできることがないからだと思う。
脳外科を標榜しているのに、死にそうな患者をまえに手をこまねいているだけでは医師の沽券に関わる。
だから「やっている感」を演出するために動脈瘤の手術をおこなう。
迅速に取り掛かるほど、現場は盛り上がる。
しかしあわただしいぶん患者の死亡率も高くなる、、ということ。