元2021 9月 ドイツ
人がMRIスキャナーの静磁場にさらされると、水平方向への眼振がおきることが2011年に発見された。
これは前庭器官をながれるリンパ液中のイオン電流と磁場との相互作用に起因すると考えられ、磁気流体力学的刺激(magneto-hydrodynamic vestibular stimulation :MVS)による水平方向への前庭動眼反射 (vestibular ocular reflex :VOR) と呼ばれている。
そこで、MVSによる機能的変調が行動的な反応にも影響しうるものか、実験してみたそうな。
17人の健常者について、3テスラのMRIスキャナー内での水平方向へのVORおよび目標志向性の空間行動変化をしらべた。
次のことがわかった。
・全員がMRIの中では、外にいるときに比べて右向きのVORを示した。・さらに、MRI内で視野探索課題を用いて空間的注意の分布をしらべたところ、あきらかに右方向にシフトした空間領域をスキャンしていた。・主観的な正面方向もまた、右にシフトしていた。
高磁場のMRIスキャナーのなかでは磁気流体力学的刺激により空間的な探索方向に右方への著しい偏りが生じた。これは脳卒中患者の半側空間無視によく似ている、
というおはなし。
感想:
3テスラMRIで撮ったわたしの脳ビデオ。