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2022年3月1日

もやもや病の遠隔虚血コンディショニング

2022  2月  中国


もやもや病は主に小児から若年者に生じる脳血管障害で、慢性的な脳の低灌流により脳梗塞や認知障害、さらには脳出血を起こすことがある。

もやもや病の発症メカニズムはあきらかになっておらず、有効な治療法もない。

遠隔虚血コンディショニングは、上肢に虚血と再灌流の刺激を繰り返すことで離れた臓器(脳)を保護する非侵襲的アプローチである。

遠隔虚血コンディショニングによって脳卒中患者などで脳の血管新生や脳灌流を改善する効果が報告されている。

そこで、もやもや病患者への遠隔虚血コンディショニングの安全性と有効性をしらべるべくランダム化比較試験をやったそうな。



もやもや病患者34人を遠隔虚血コンディショニング群と通常内科治療群にわけ、中大脳動脈域の脳血流、主要脳血管障害イベント、等を比較した。

遠隔虚血コンディショニングは、両腕に巻いたカフを200mmHgで膨らませて、締め付けと開放を左右交互に5サイクルx1日2回x1年間実施した。



次のようになった。

・遠隔虚血コンディショニングの有害事象はなかった。

・脳血流改善率は、0.16 vs. -0.03で遠隔虚血コンディショニングがあきらかに高かった。

・狭窄や閉塞の進行は、11.8% vs. 38.5%で遠隔虚血コンディショニング群が低かった。

・主要脳血管障害イベントの発生率も、5.9% vs. 30.8%で低かった。

・脳室周囲吻合(periventricular anastomosis)は、両群で有意な差は認められなかった。


もやもや病患者への遠隔虚血コンディショニングは安全で脳血流を改善し、狭窄や閉塞の進行を抑える効果があり脳卒中リスクも低いと考えられた、


というおはなし。
遠隔虚血コンディショニング


感想:

遠隔虚血コンディショニングには Pre(予防)と Post(治療)があるけど、この場合はPostでありPreでもあるわけで、とても良い応用例だとおもった。


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