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2018年4月20日

tPA治療に間に合うとどれくらいラッキーなのか


Long-Term Survival After Intravenous Thrombolysis for Ischemic Stroke
2018  2月  イギリス

急性脳梗塞のほぼ唯一の治療法である静脈内血栓溶解治療(tPAアルテプラーゼ)の長期的な影響については脳内出血の問題もありじつはよくわかっていない。

そこでアルテプラーゼ治療による10年間の生存率と機能回復について詳しくしらべてみたそうな。


2005-2015の脳梗塞患者2052人から、アルテプラーゼ治療を受けた246人と 条件の近い492人についてフォローしたところ、


次のことがわかった。

・生存年数の中央値は 5.72 vs. 4.98年 で治療グループが長かった。

・治療により10年時の死亡リスクが37-42%低下した。

・10年間を平均すると、治療を受けた患者は1年長く生存できた。

・5年時点での生活自立度は治療グループがあきらかにすぐれていた。

脳梗塞のt-PAアルテプラーゼ治療は長期の生存率と身体機能の改善に効果がありそうだった、


というおはなし。
図:tPA治療での10年間の生存率

感想:

発症から数時間以内に入院できるというまれにみる幸運の結果が 「たった1年間の余命延長」という事実を知って 深いむなしさを感じた。

2018年3月30日

病院のリハビリで患者の訓練時間がとても短いわけ


Why do stroke survivors not receive recommended amounts of active therapy? Findings from the ReAcT study, a mixed-methods case-study evaluation in eight stroke units.
2018  3月  イギリス

脳卒中の上肢リハビリ訓練量と回復度には用量関係がないことがさいきん次々とあきらかになってきてはいるが、 a b

イギリスの脳卒中リハビリ・ガイドラインでは 1日あたり少なくとも通算45分間の実訓練が必要である とされている。

しかし患者のおおくが必要な訓練量に達しておらず問題となっている。

その原因をくわしくしらべてみたそうな。


異なる地域のリハビリ関連病院 8施設での脳卒中患者77人、介護者53人、医療スタッフ197人の活動内容を第三者視点で詳細に観察し、その多くに面談も行ったところ、


次のことがわかった。

・433回のセッションを含む計1000時間あまりの観察をおこなった。

・セラピーで患者の実動時間に影響するもっともおおきな要因は、療法士の患者以外の関係者との情報交換に要する時間だった。

・疲労や遅刻などの患者要因も訓練量に影響していた。

・患者ごとに作成した予定表が院内でうまく機能していなかった。

・療法士の専門資格や経験レベルのちがいがセラピー内容に反映していなかった。

・適切な訓練強度や頻度についてエビデンスを理解できている療法士がほとんどいなかった。

セラピーの時間が療法士自身の情報交換作業に使われていた。準備の効率化や他部署との連携および療法士の再教育が必要だろう、

というおはなし。
図:リハビリ訓練量に与える要因

感想:

日本とおなじなんだな、、、

これ↓思い出したよ。
日本の理学療法士はどういう根拠に基づいて仕事をしているのか?

2018年3月23日

中性脂肪は脳梗塞と因果関係になかった


Role of Blood Lipids in the Development of Ischemic Stroke and its Subtypes
2018  3月  スウェーデン

スタチン療法で脳梗塞リスクが低下することからLDLコレステロールが脳梗塞の原因であることがわかる。

しかしLDLコレステロールが脳梗塞の種類すべての原因であるかはわかっていない。

そこでLDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪について脳梗塞の各種類との因果関係をしらべてみたそうな。


185種類の脂質関連一塩基多型についてのゲノムワイド関連解析データベースをつかって、メンデルランダム化解析を駆使したところ、


次のことがわかった。

・18万人あまりのデータから16851の脳梗塞と、アテローム血管性2410、小動脈閉塞3186、心原性3427 の脳梗塞がみつかった。

・LDLコレステロールの増加は脳梗塞全体のリスク上昇と相関していて、

・種類別にはアテローム血栓性で、小動脈閉塞と心原性とは相関しなかった。

・HDLコレステロールの増加は小動脈閉塞リスクの減少と相関していた。

・中性脂肪の増加は脳梗塞全体といずれの種類にも相関しなかった。
LDLコレステロールを下げるとアテローム血栓性脳梗塞の予防になる。HDLコレステロールを増やすとラクナ梗塞予防になる。しかし中性脂肪をさげても脳梗塞に影響はない、


というおはなし。
図:中性脂肪と脳梗塞の種類

感想:

中性脂肪は脳梗塞の原因になっていないってところが新鮮だ。

2018年3月4日

結婚してると脳卒中リスクが低いは勘違いだった


Married, unmarried, divorced, and widowed and the risk of stroke.
2018  3月  デンマーク

結婚している人のライフスタイルは結婚していない人よりも より健康的であると考えられている。

しかし脳卒中リスクとの関連については、結婚状況によりそうとはかぎらないという報告もある。

そこで離婚や死別を区別して結婚状況と脳卒中リスクとの関連を詳しくしらべてみたそうな。


2003-2012の脳卒中患者のうち40歳を超える者58807人について、

結婚中、非婚、離婚、死別、にわけて脳卒中リスクを評価 比較したところ、


次のことがわかった。
・1000人あたりの脳卒中年間発生率は、結婚中1.96、非婚1.52、離婚2.36、死別5.43 だった。

・年齢 性別 収入などを調整した脳卒中リスクは、結婚中にくらべて 離婚でのみあきらかに高く、男性1.23倍、女性1.10倍だった。

結婚状況ごとの脳卒中リスクは離婚のばあいのみ高く 特に男性で顕著だった。いっぽう結婚してパートナーがいることそれ自体は脳卒中リスクとほとんど関連がなかった、


というおはなし。
図:結婚ステータスと男女別の脳卒中リスク

感想:

死別のインパクトがないことから、離婚に至るような人にはなにか著しく不健康なライフスタイルがあって それゆえに離婚ってことなんだとおもう。

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2018年2月11日

遠隔虚血ポストコンディショニングの脳卒中治療効果


Remote limb ischemic postconditioning promotes motor function recovery in a rat model of ischemic stroke via the up-regulation of endogenous tissue kallikrein.
2018  2月  中国

腕や脚を一時的に虚血にすることで離れた位置の臓器(心臓や肝臓、肺、腎臓、脳)を障害から護ることができるとする考え方があり
遠隔虚血コンディショニング(RIC : Remote Iscemic Conditionig)とよばれている。

RICの脳卒中への応用については、障害イベントの事前(pre)のコンディショニング効果についての研究がおおいので事後(post)の効果について動物で実験してみたそうな。

また神経保護効果のある組織カリクレインとの関係もしらべた。


人為的に脳梗塞にしたネズミを用意した。
RICでは後ろ脚を10分間しばって虚血にして10分間解放する操作を1日3回x21日間つづけた。

運動機能、梗塞サイズ、発現タンパク質をしらべたところ、


次のようになった。

・RICグループで運動機能の回復がすぐれていた。

・RICグループでは梗塞サイズや神経の消失がすくなく、損傷部位での微小血管密度が増加していた。

・さらに損傷部位で組織カリクレイン濃度が増加していた。

・組織カリクレインの拮抗薬を与えたところ、これらの改善がもどってしまった。

急性脳梗塞への遠隔虚血ポストコンディショニングは運動機能の回復および脳の保護に効果的だった。このプロセスには組織カリクレインの関与が考えられた、


というおはなし。
図:遠隔虚血ポストコンディショニングの脳卒中治療効果


感想:

おそらくこの考え方をすでに人で実験した結果がこれ↓。
ハンドグリップで脳梗塞が治るというエビデンス

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2018年1月27日

脳卒中患者はなぜリハビリを受けないのか?


Are Stroke Patients Skipping Rehab?
2018  1月  アメリカ

脳卒中のあとのリハビリは非常に大事であると信じられているが、
おおくの脳卒中患者がリハビリを受けないでいるという。
今週水曜日、国際脳卒中学会 in ロスアンゼルスでの報告。


・退院時にリハビリサービスを紹介されたノースカロライナの脳卒中患者369人をフォローした。

・自宅リハビリサービスを紹介された115人のうち30日以内に利用した者は43.5%だった。

・外来リハビリを紹介された85人では34%のみが利用していた。

・年齢や重症度、障害の程度を考慮すると非白人患者は白人患者よりも外来リハビリを受けない傾向が78%つよかった。

・自宅リハビリサービスを紹介された患者には年齢や職業、所得での差はなかった。

自宅リハビリには保険の自己負担ぶんもないにもかかわらず半数以上がサービスを利用しない。なぜなのか理由がわからない、、、


というおはなし。
図:脳卒中後のリハビリ

感想:

脳卒中患者のほとんどは軽症である。急性期こそ麻痺がひどくてびっくりするが、機能低下ぶんの70%以上は比例回復則にしたがい数ヶ月で自然と回復してしまう。

ようするに脳卒中後のリハビリサービスには一般に考えられているほどの高いニーズはない、ってこと。

じぶんも勧められるままにリハビリ病院へ転院したけど、行かなくてもなにも変わらなかったろうな、、、とは いまさらながらに思う。

療法士さんには気持ちの支えになってくれたという点で感謝している。

2018年1月17日

下肢で比例回復則Fitterなら上肢でもFitter?


Is the proportional recovery rule applicable to the lower limb after a first-ever ischemic stroke?
2018  1月  オランダ

脳卒中のあと6ヶ月間の神経障害からの回復は単に時間の問題であり、回復はほとんどすべて自然に起こるという報告がいくつもある。しかしこのしくみについてはよくわかっていない。

その回復ぶんは上肢、半側空間無視、失語で共通していて、脳卒中で低下した機能スコアの60-97%の回復が期待でき、"proportional recovery rule"(比例回復則)とよばれる。

この比例回復則が上肢機能に適合しない患者は、半側空間無視にも適合しないことから神経障害に共通した自発的回復メカニズムがあることをうかがわせる。

そこでほとんど検証されていない下肢機能の比例回復則の有無と適合者(Fitter)および非適合者(non-Fitter)を見分ける特徴とその条件が上肢機能にもあてはまるものか確かめてみたそうな。


脳梗塞患者202人について、発症後72時間以内と6ヶ月後に下肢機能(FMA-LE)および上肢機能(FMA-UE)を評価した。

発症直後の下肢機能から比例回復則で予測される機能回復を果たした適合者と予測から外れた非適合者の特徴をしらべた。


次のようになった。

・87%の患者の下肢機能が比例回復則にしたがっていた。

・その回復は機能低下ぶんの64%だった。

・発症直後のFMA-LEスコアが14ポイント以上のすべての患者は比例回復則に適合していた。

・しかし14ポイント未満であっても78人のうち51人が比例回復則に適合していた。

・非適合者は適合者よりも初期の神経症状が重かった。

・下肢機能の比例回復則に適合しなかったすべての患者は上肢機能の比例回復則にも適合しなかった。

比例回復則への適合度は患者ごとに下肢と上肢で一貫しているようにみえた。適合者を見分ける方法が確立すればリハビリ計画におおきく役立つだろう、


というおはなし。
図:下肢の比例回復則 Fitter non-Fitter

感想:

昨年の報告でも下肢のFitter率は非常に高い。
Stroke誌:下肢運動機能の比例回復則からわかること
つまり重症患者を除くと、歩行訓練はやってもやらなくても ほとんど全員が自然と歩けるようになるということ。

[比例回復則 "proportional recovery rule"]の関連記事

2017年12月31日

Stroke誌:PTの運動指導 まったく効果なかった


Efficacy and Safety of Individualized Coaching After Stroke: the LAST Study (Life After Stroke)
2017  12月  ノルウェー

脳卒中後の身体機能は最初の6月間にいちじるしく改善する。この期間にしっかりと身体を動かしておくとその後の回復もよい。さらに慢性期であっても機能維持と再発予防の観点から積極的な運動が必要である、と固く信じられている。

退院した患者は動かなくなりがちなので、「定期的な指導をおこなうことで運動が促され機能回復が進むはずである」、という仮説を検証してみたそうな。


発症後10-16週のすでに退院している脳卒中患者380名について、定期指導グループと通常ケアグループにわけた。

定期指導は、月に1回面談または電話にて理学療法士が 患者本人に適した運動メニューを個別に作成して指導を行う。患者には毎日の運動内容の日記もつけさせた。

これを18ヶ月間つづけて以下の複数の指標で比較したところ、
Motor Assessment Scale、
Barthel index、
modified Rankin Scale、
Berg Balance Scale、
Timed Up and Go test、
gait speed、
6-minute walk test、
Stroke Impact Scale


次のことがわかった。

・"Motor Assessment Scale" では通常ケアグループがスコアが良かった。

・"Barthel index", "modified Rankin Scale", "Berg Balance Scale" にグループ間の明らかな差はなかった。

・再発などの有害事象はいずれも少なく、日記によると運動強度は低かった。

脳卒中患者への個別定期指導による運動機能の改善と維持の試みはまったく効果がみられなかった、


というおはなし。
図:

感想:

自然に回復できた患者が活発に運動しているだけであって、運動したから症状が改善するわけでないことは患者のおおくがなんとなく気づいている。

だから仕事のための運動指導を作業的におこなわれても患者のこころには響かない。
そういうことだとおもうよ。
作業療法士さんに来てもらったけど効果が無いばかりか気晴らしにもならなかった

2017年12月17日

脳卒中で死なない最適なコレステロール値が判明


Total cholesterol and stroke mortality in middle-aged and elderly adults: A prospective cohort study.
2017  12月  韓国

コレステロールと脳卒中との関係については未だ結論がなく、スタチンなどの脂質降下薬を積極的にもちいるべきとする考え方と、コレステロールを下げると脳出血が増えるので危険だとする考え方がある。

この問題をあきらかにするべく 総コレステロール値と脳卒中の種類別死亡リスクとの関連を大規模に調査してみたそうな。


40-80歳の韓国人503340人を2002年から10年あまりフォローしたところ、


次のことがわかった。
・脳卒中全体では コレステロール値にたいし死亡リスクがU字カーブを描き、200mg/dlでリスク最低をしめした。

・200mg/dlより低いと逆相関にあり、主に脳内出血の死亡リスクが上昇した。

・脳梗塞はコレステロール値にたいし弱いながらも正の相関をしめした。

・200mg/dl以上ではいずれの脳卒中の種類でも逆相関になるものはなかった。

・これらの関連は若年層(40-64歳)と高齢者層(65以上)とで違いはなかった。

総コレステロール値は200mg/dlのとき脳卒中死亡リスクがもっとも低く、年齢層によらなかった。
200mg/dlを超えると脳内出血を含めて死亡リスクは高くなった、



というおはなし。

図:総コレステロール値と脳卒中死亡リスク

感想:

白人あいてじゃなく おなじアジア人なのでとても参考になる。

総コレステロール値200mg/dlのとき韓国人のばあい LDLコレステロール110mg/dl相当なんだって。
これより低いと脳内出血で逝きやすくなる。

2017年10月19日

脳の白質病変が小さくなる簡単な方法 RICとは


Remote Ischemic Conditioning May Improve Outcomes of Patients With Cerebral Small-Vessel Disease
2017  10月  中国

ラクナ梗塞、微小脳出血や白質病変は脳小血管障害(cSVD)とも言われ、血管性認知症の主な原因でありアルツハイマー病とも関係すると考えられている。

しかしcSVDの有効な治療法はない。

いっぽうで 遠隔虚血コンディショニング(RIC)はターゲットとなる臓器から離れた組織に虚血再灌流を短時間繰り返すことで保護効果が得られるとする現象である。

最近では脳卒中の再発予防や抗炎症 抗血栓効果、さらには白質病変や脳の灌流状態を改善する効果の報告もある。

そこで遠隔虚血コンディショニングの脳小血管障害と軽度認知障害への効果を実験でたしかめてみたそうな。


cSVDで軽度認知障害の患者30人について、RICグループ14人と偽RICグループ16人にわけた。

RICは両腕に巻いた腕帯を200mmHgの圧力で締めつけ、そして開放する。このサイクルを5分間に5回行い、1日2セット、1年間継続した。

偽RICでは締めつけ圧力を50mmHgにして血流が止まらないようにした。


次のようになった。

・1年後、白質病変体積がRICグループではおおきく減少し(9.1→6.5cc)、偽RICでは有意な差は生じなかった。

・ラクナ梗塞の数は両グループで差はなかった。

・視空間認知と実行能力はRICグループで明らかにすぐれていた。

・RICグループでは中性脂肪、総コレステロール、低密度リポ蛋白、ホモシステインがおおきく減少していた。

・中大脳動脈の脈動性にも差が生じていた。

遠隔虚血コンディショニングには脳小血管障害の白質病変を小さくし、認知能力の衰えを遅らせる効果がありそうだ、


というおはなし。

図:遠隔虚血コンディショニング装置

感想:

これは流行る予感。

[遠隔虚血コンディショニング]の関連記事

2017年10月17日

右脳が身体バランスに特化はほんとうか?


Right cerebral hemisphere specialization for quiet and perturbed body balance control: Evidence from unilateral stroke.
2017  10月  ブラジル

左右の脳半球が運動コントロール的にそれぞれ別のはたらきをするという考え方がある。たとえば左脳はおもに筋力を、右脳はバランスをになうという。

特にバランスコントロールについて左右脳のちがいを実験でたしかめてみたそうな。


慢性期脳卒中で中等度片麻痺の 右脳損傷患者9人と左脳損傷患者7人、健常者24人について実験をした。

静かに立っているときと外力を加えたときの体重の圧力中心と身体の揺れ、下肢関節や筋肉の動きを測定した。

視覚によるバランス補正の影響を知るために視野を塞いだ実験もした。

足の感覚機能への影響を調べるべく 硬い床と柔らかい床を用意した。


次のようになった。

・静かに立っているときの圧力中心と身体の前後左右への揺れは右脳損傷患者のみが大きく、

・左脳損傷患者は硬い床のときだけ左右の揺れが健常者よりもおおきかった。

・外力を加えたとき、身体の前後への揺れの大きさ 速度 回復時間 下肢筋肉 関節のうごきは右脳損傷患者がもっともおおきく、

・左脳損傷患者は麻痺脚の筋肉のブレが健常者に劣るのみだった。

左脳損傷にくらべ右脳を損傷した脳卒中患者のバランス能力は劣っていた。この効果は足の感覚情報の違いに依らなかった。右脳はバランスコントロールに特に重要なのであろう、


というおはなし。
図:脳卒中患者のボディバランス

感想:

なるほど、駅の下り階段で おんな子どもや高齢者にまで煽られるのはこういうわけだったのか。

2017年10月4日

ランセット誌:通勤や家事は脳卒中予防にならないの?


The effect of physical activity on mortality and cardiovascular disease in 130 000 people from 17 high-income, middle-income, and low-income countries: the PURE study.
2017  9月  カナダ

身体活動量がおおいと脳卒中など心血管疾患が起きにくくなり死亡率も下がるという報告は数多くある。しかしこれら調査の多くは高所得国の余暇時間の使い方にフォーカスしたものがほとんどである。

そこで、十分な余暇時間をとれない中低所得国を調査対象にいれて非余暇時間(仕事や通勤 家事など)での身体活動量と心血管疾患との関連を大規模にしらべてみたそうな。


2003-2010に、カナダ、スウェーデン、アラブ首長国連邦、アルゼンチン、ブラジル、チリ、ポーランド、トルコ、マレーシア、南アフリカ、中国、コロンビア、イラン、バングラディシュ、インド、パキスタン、ジンバブエの健康な国民 計130843人から身体活動量についてのアンケートをとり、

平均6.9年間にわたり死亡率 心血管疾患(脳卒中、心筋梗塞など)の発生をフォローしたところ、


次のことがわかった。
・週当たりの身体活動量が増えるにしたがい死亡率および心血管疾患リスクは低下した。

・この関連は高所得国、中所得国、低所得国に共通で、

・余暇時間、非余暇時間に依らなかった。

余暇時間または非余暇時間にかかわらず、身体活動量がふえると死亡率や脳卒中など心血管疾患のリスクは低下する、


というおはなし。
図:非余暇時間の運動と脳卒中リスク

感想:

都心に職場があると 通勤だけで1日の体力の9割が削がれる。終わりがみえない千日回峰行のようでメンタルがずたずたになる。むかしのはなし

2017年10月2日

重症脳卒中患者の予後精度


Predictive accuracy of physicians' estimates of outcome after severe stroke.
2017  9月  オランダ

脳卒中患者の半数以上が2年内に死亡または重度の障害を抱える。

また 院内で死亡するケースのおおくは医師が延命治療を引き揚げたあとに起きる。それゆえ終末期の判断には患者の正確な回復度の予測が必要となる。

そこで発症後間もない重症脳卒中患者の 医師による予後の精度を検証してみたそうな。


くも膜下出血を除く 脳梗塞または脳内出血の発症4日時点での重症患者(BI<6/20)について、
複数医師による6ヶ月後の死亡、生活自立度、QoLの予測と、
じっさいの6ヶ月後のフォロー結果を比較したところ、


次のようになった。

・平均年齢72、60人(脳梗塞30人)の患者を対象とした。

・6ヶ月時点で30人の患者が死亡した。

・生き残った30人のうち1人は死亡すると予想されていた。

・死亡予測された15人のうち14人はほんとうに死亡した。

・回復不良(mRS>3)と予測された46人のうち4人は回復良好だった。

・QoL低予測の8人中5人およびQoL高予測の18人中14人はそのとおりになった。

重症脳卒中患者の担当医師たちによる6ヶ月後の死亡 回復不良予測は正確ではなかった。QoLにいたってはもっと不正確だった、


というおはなし。
図:重症脳卒中患者の予後予測の精度

感想:

上の図の青棒と赤棒がハズレ。死亡予測ですら半数を外している。

実は回復しそうな患者には悪しめの予測(上図の赤棒)が告げられる。これをセルフハンディキャッピングという。

2017年9月24日

脳卒中後の運動と認知機能


Effects of Physical Activity on Poststroke Cognitive Function.
2017  9月  オーストラリア

脳卒中後の身体活動トレーニングには 認知機能の維持 回復の効果が期待できる。実際 すくなからぬ数の研究がそれをサポートするデータを示している。

これらの研究をまとめて効果的なトレーニングの種類、期間、時期、認知機能的側面についてしらべてみたそうな。


関係するランダム化比較試験を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・被験者736人を含む14の研究がみつかった。

・ぜんたいとして身体活動トレーニングは脳卒中患者の認知パフォーマンスに良い影響があった。

・エアロビック(有酸素運動)と筋力負荷トレーニングを組み合わせたときにもっとも認知ゲインが大きく、

・慢性期患者であっても認知パフォーマンスの改善が得られた。

・注意力と処理速度で強くはないが明らかな効果が見られたいっぽう、

・実行機能や作業記憶では有意な効果は確認できなかった。

脳卒中後の身体活動トレーニングで認知パフォーマンスが強化された。この効果は12週間ほどで現れ 複数トレーニングの組み合わせで最大化し、慢性期の患者にも効果的だった、


というおはなし。
図:脳卒中後の身体活動トレーニングの認知パフォーマンス効果

感想:

慢性期でもOKってところがやる気にさせる。

2017年7月22日

コクランレビュー:作業療法のエビデンス信用できない


Occupational therapy for adults with problems in activities of daily living after stroke.
2017  7月  イギリス

脳卒中患者への作業療法のおもな目的は、日常生活動作(食事、移動、手洗い、着替えなど)の改善にある。

作業療法がほんとうに生活に役立つものかどうか、これまでの研究をまとめてみたそうな。


関連する信頼性の高い研究を厳選して、データを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・被験者994人をふくむ9の研究がみつかった。

・作業療法は日常生活動作を改善し能力の低下を防いだ。

・作業療法が死亡率や要介護率を下げ 精神的苦悩を改善するという成果はなかった。

・しかし被験者の選び方や実験方法、測定手法にかたよりが強く、

・作業療法士と被験者いずれにも介入意図が隠せていない低質なエビデンスばかりだった。

作業療法が脳卒中患者の日常生活動作を改善できるとする主張には低レベルのエビデンスしかみつからなかった。これでは自信をもって患者に勧められない


というおはなし。
図:作業療法

感想:

患者はそれほどバカではないので療法士さんが意図し期待するところはバレバレである。

他にたよれる人もいないので療法士さんの気持ちをそんたく(忖度)して良くなった振りをする。

低質なエビデンスが量産される。

そういうことだとおもう。

2017年7月11日

脳内出血患者が3ヶ月以降も延々と回復し続けるしくみ


Functional Improvement Among Intracerebral Hemorrhage (ICH) Survivors up to 12 Months Post-injury.
2017  7月  アメリカ

脳卒中患者の生活自立度を評価する基準にはおもに、
"modified Rankin Scale"(mRS: 0[健常]-6[死亡]の7段階のみ) と
"Barthel Index"(BI: 10項目について0-100点)がある。

通常は mRSが用いられることがおおい。いっぽう
脳内出血患者の37.7%は100日時点で機能的に自立(BI≧95)するという報告もある。

脳内出血患者を長期にフォローするときにどちらの基準がより評価に適しているものかしらべてみたそうな。


脳内出血患者173人について退院時、3、6、12ヶ月後の生活自立度をmRSとBIで評価 比較したところ、


次のようになった。

・mRSは退院して間もない時期には大きく変化したが、3ヶ月を過ぎると変化がほとんどなくなった。

・BIは退院時から12ヶ月後までにわたり常にその変化がおおきく反映されていた。

3ヶ月以降のわずかな改善度の変化は BIのほうがmRSよりも感度良く捉えていて、12ヶ月後まで改善が続いているように見えた、


というおはなし。
図:脳内出血 mRS vs BI

感想:

ちいさな研究だと採点者は何度も同じ患者と顔を合わせる。

やがて『この患者さんはいつもがんばってるな、、ちょっと盛っとくか』という気持ちになる。
どっちが盛りやすいか といったら mRSよりも断然BI。

なぜなら1点あたりの重みが小さいほうが加点に際して気が楽だから。
そしてこの繰り返しでスコアは伸び続ける。

よく『○○療法は機能的には改善するが日常生活動作には反映しない、、』というのも おなじ背景だとおもう。↓↓↓
課題指向型訓練 いくらやっても役には立たない

2017年7月4日

ランセット誌:脳卒中リハビリは家族にまかせて問題ない


Family-led rehabilitation after stroke in India (ATTEND): a randomised controlled trial.
2017  6月  インド

インドではリハビリを専門とする施設が非常にすくないためほとんどの脳卒中患者は利用する機会がない。

専門性の高いリハビリ資格をもったスタッフから患者家族にその職能権限を移譲する「タスクシフティング(Task Shifting)」には関心が寄せられているがその安全性は定かでない。

そこで大規模に実験してみたそうな。


14の病院に入院した脳卒中患者1250人を2グループに分け、いっぽうのグループの家族にリハビリトレーナーとしての訓練をほどこし 早期に退院させて自宅で患者のリハビリを行わせた。

患者家族への訓練は病院にて1日1時間x3日間で 障害の評価、目標の建て方、トレーニング方法、励まし方などを学ばせた。

6ヶ月後の患者状況を病院での通常リハビリグループと比較したところ、


次のようになった。

・1日あたりのリハビリの時間、総リハビリ時間は両グループでほぼおなじに設定できた。

・6ヶ月後、死亡または要介護状態にある患者の割合は両グループともに47%だった。

・死亡者や再入院の率もグループ間でほとんど差がなかった。

・非致死性のイベント率もほとんど差がなかった。

脳卒中患者へのリハビリ業務を患者家族に移譲(タスクシフティング)したところ、通常のリハビリにくらべ有害な点はまったくなかった


というおはなし。
図:家族まかせの脳卒中リハビリの6ヶ月後のmRS

感想:

脳卒中リハビリの成果は訓練の量や質によらないことがわかってるから、有害でないならタスクシフティングしない理由がないね。
JAMA誌:課題指向型訓練 やる意味ない

Stroke誌:下肢運動機能の比例回復則からわかること

2017年6月8日

日本人の脳卒中予防に適した運動量が明らかに


Daily Total Physical Activity and Incident Stroke
2017  6月  日本

身体活動量がふえると高血圧や肥満、糖尿病などが改善され脳卒中の予防効果がきたいできる。

東アジア人は西洋人にくらべ脳出血がおおいことなどから、こんかい日本人を対象に日々の運動量と脳卒中リスクとの関係をしらべ直してみたそうな。


50-79歳で健康な日本人男女74913人を2000-2012にフォローしたところ、


次のことがわかった。
・この間に 747の脳内出血、260のくも膜下出血、1206の非塞栓性脳梗塞、515の塞栓性脳梗塞があった。

・脳卒中全体、脳内出血、くも膜下出血、非塞栓性脳梗塞には日々の運動は中強度量のとき脳卒中リスクがもっとも低かった。

・塞栓性脳梗塞では運動量が多いほどリスクは低下した。

・脳出血のリスクは運動が強くなるほど高くなった。

日本人のばあい 強い運動が脳出血リスクを高めることから、ウォーキングなどの ほどほどな強度の運動が脳卒中の予防に適していると考えられた、


というおはなし。
図:運動強度と脳出血リスク

感想:

塞栓性の脳梗塞予防にはキツイ運動量がいいんだね。
図:塞栓性脳梗塞と運動量
スポーツやってた脳卒中患者は再発しないのか?

2017年5月30日

緩和優先医療になる脳卒中患者


Early transition to comfort measures only in acute stroke patients
2017  5月  アメリカ

脳梗塞の30日死亡率はおよそ10% 脳出血は30%であり、終末期としての緩和医療は重要な選択肢の1つである。

入院してすぐに(積極的治療を行わない)緩和優先医療に切り替えられてしまう患者がどのくらいいるものか、しらべてみたそうな。


脳卒中患者データベースの2009と2013の記録から、入院翌日までに緩和優先医療(Comfort Measures Only)に切り替えた事例を抽出して解析したところ、


次のことがわかった。
・1675病院の脳卒中患者963525人のうち、5.6%に緩和優先医療の指示が出された。

・脳卒中の種類別では 脳梗塞3.0%、脳内出血19.4%、くも膜下出血13.1%だった。

・緩和優先医療の指示頻度は病院ごとに幅があって 0.6-37.6% だった。

・この頻度は2009→2013に減少傾向にあった。

・高齢、女性、白人、保険未加入、救急車使用、営業時間外だと緩和優先医療になりやすかった。

緩和優先医療は脳卒中患者の5%に適用されていた。とくに脳出血でおおく、その頻度は病院ごとにおおきくことなっていた、


というおはなし。
図:

感想:

やる気のないお医者さんにあたったおかげで 命拾いする患者も少なくないと思うんだ。

2017年5月5日

刺激豊富な環境が脳細胞のアポトーシスを防ぐ


Treatment with Enriched Environment Reduces Neuronal Apoptosis in the Periinfarct Cortex after Cerebral Ischemia/Reperfusion Injury.
2017  3月  中国

刺激豊富な環境の神経保護効果については おおくの研究があるがそのメカニズムはよくわかっていない。

そこで神経細胞死(アポトーシス)に注目してしらべてみたそうな。


人為的に脳虚血にしたネズミをつかって通常環境と刺激豊富な環境グループにわけて神経症状や梗塞体積、アポトーシス関連たんぱく質を測定した。

刺激豊富な環境グループでは通常より広いカゴに6-8匹のネズミをいれ、多くの遊具を設置して それらの位置を毎日変えた。


次のようになった。

・刺激豊富な環境グループでは神経症状が回復し 梗塞体積も小さかった。

・また 梗塞周辺組織で アポトーシスを抑えるBcl-2タンパク質が増加し、

・アポトーシスを促すBax, cytochrome c, caspase-9 といったタンパク質が減少した。

刺激豊富な環境で梗塞周辺の神経細胞のアポトーシスが抑制された。これが神経保護メカニズムの1つかも、、


というおはなし。

図:刺激豊富な環境と脳梗塞ボリューム

感想:

脳卒中患者は個室にいれちゃいかんってことだな。

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