元2022 5月 イタリア
多発性脳動脈瘤のくも膜下出血の場合、まずは出血源であるインデックス動脈瘤を特定して治療することが第一目的になる。
しかしその傍らにみつかった未破裂のバイスタンダー動脈瘤を一緒に治療するべきかどうかについてはあきらかな基準はない。
そこで、バイスタンダー動脈瘤の治療の適応、治療遅延のリスク、転帰についてくわしくしらべてみたそうな。
2016-2020年の動脈瘤性くも膜下出血患者265人のうち、62人に複数の脳動脈瘤がみつかった。
このうち56人90.3%でインデクス動脈瘤が特定できたが、6人は特定できなかった。
この56人には81個の未破裂のバイスタンダー動脈瘤がみつかった。
彼らのうち長期フォローができた39人の記録を対象とした。
次のことがわかった。
・39人のうち14人がバイスタンダー動脈瘤の治療を受け、25人は経過観察だった。・治療群では、インデックッス動脈瘤の治療からは平均で14ヶ月間の遅れがあった。・治療群は女性がおおく、若かった。・治療群の1年間以上および経過観察群の40ヶ月間のフォロー中に両群でバイスタンダー動脈瘤に出血や瘤の成長は認められなかった。・治療群での手術合併症や後遺症はみられなかった。
多発性脳動脈瘤のくも膜下出血の場合、破裂瘤の特定と治療が重要である。未破裂瘤の治療の選択は病状が回復したあとで考えれば良い、
というおはなし。
感想:
わたしは、くも膜下出血の原因が瘤の破裂であるとする説を信じていない。
その理由
1.瘤から血を吹いているシーンを確認しているわけではないこと。
2.瘤を塞ぐ手術後の破裂率や死亡率の改善を示すエビデンスがまったくないこと。
3.くも膜下出血の2割ほどは動脈瘤がみつからず手術ができないのに彼らのほとんどは元通りに回復していること。
4.ワイドネック瘤のほうがナローネック瘤よりも破裂しやすいこと。
たぶん瘤の近くのふつうに見える動脈壁が裂けて出血している。
瘤があるようなひとは血管全体がよわいんだから特定の瘤を塞ぐのは的外れ。
余計なことをしなければ、きっとおおくのくも膜下出血患者が死なずにすむと思うの。
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