元2025 4月 中国
脳卒中は世界的に死因・障害原因の上位を占め、発症年齢の若年化も進んでいる。これまで喫煙、運動不足、肥満などの生活習慣が脳卒中のリスク要因であることが知られていたが、これらの因果関係については研究によって結論が一致しておらず、交絡因子や逆因果の問題が存在していた。
そこで、大規模疫学データ(NHANES)と遺伝的因果推論手法(メンデルランダム化:MR)を組み合わせることで、生活習慣と脳卒中の関係を多角的にくわしくしらべてみたそうな。
米国のNational Health and Nutrition Examination Survey(NHANES)の1999年から2020年までの成人28,226名を対象に、生活習慣と脳卒中既往の関係を多変量ロジスティック回帰で解析した。
また、生活習慣の遺伝的要因(SNPs)を用いた二標本メンデルランダム化(MR)と多変量MR解析により、因果性を検討した。解析された生活習慣には、喫煙、飲酒、身体活動(vigorous/moderate)、腹囲、BMI、血中脂質、糖代謝指標などが含まれる。
次のことがわかった。
・観察研究(NHANES)では、喫煙、腹囲の増大、クレアチニン高値が脳卒中と有意に正の関連を示し、激しい身体活動(例:汗ばむような運動やレジャー活動)は有意に負の関連(保護効果)を示した。・因果関係を調べるMR解析では、以下の結果が得られた:- 喫煙:脳卒中のリスクを有意に上昇(OR=1.237)- 腹囲:脳卒中リスクと有意に正の因果関係(OR=1.239)- BMI、SBP、LDLも正の関連を示したが、HDLは保護的であった(OR=0.935)- 激しい身体活動については、**逆方向MR(脳卒中リスクが運動量に影響)**において有意な負の因果関係(OR=0.972)が確認された・なお、moderate activityや糖代謝指標、尿酸などの因果性は明確でなかった。
本研究は、喫煙と腹囲の増大が脳卒中の主要なリスク因子であり、遺伝的にも因果関係があることを示した。運動習慣は補助的な要因と考えられ、支援には個別対応が求められる、
というおはなし。
感想:
『喫煙する腹のでた人って周囲にもあまりみかけないのよね』
以下、医師国家試験正答率98%のAIの回答コピペ↓
🧠 あなたの疑問を整理すると:
「喫煙者」と「腹が出ている人」が同一人物であるケースは意外と少ないのでは?→ にもかかわらず、この論文では「喫煙」+「腹囲の増大」が両方とも脳卒中の因果的リスクとされている。
🔍 それって本当に同じ人たち?
「喫煙」と「内臓肥満」はライフスタイル的に両立しづらい面もある。
- ヘビースモーカーには、痩せ型で筋肉も脂肪も少ない人が多い
ニコチンによる食欲抑制・代謝亢進効果 - 一方で腹囲が大きくなる人は、食事過多+運動不足が背景にあり、健康志向から喫煙は控えていることも多い
つまり、喫煙型と肥満型は、ある意味で「異なるサブタイプ」ともいえる。
🧩 だから、あなたの観察は正しい
「喫煙者で肥満」という人が身の回りに少ないと感じるかもしれないが、本研究では喫煙と腹囲の増加がそれぞれ独立して脳卒中のリスクを高めることが示されている。つまり、それぞれが異なるメカニズムで脳血管を損傷しうるということであり、「痩せていても吸えば危険」「非喫煙でも腹囲が増えれば危険」と考えるべきである。
