元2025 3月 中国
脳卒中のあとにおこる排尿トラブル、とくに「尿が出せない」尿閉(にょうへい)は、生活の質を下げたり、感染の原因になったりする大事な問題である。しかし、これまで詳しく調べられることは少なかった。
なかでも、急性脳梗塞(きゅうせいのうこうそく)になった人が、どのくらいの割合で尿閉になるのか、またどんな人がなりやすいのかは、よくわかっていなかった。
そこで、急性脳梗塞になった人で尿閉になる割合と、その原因をくわしくしらべてみたそうな。
研究には、急性脳梗塞と診断された993人が使われた。過去の記録をふりかえる「後ろ向き研究」のかたちで行われた。対象者は、尿閉になった群と、なっていない群に分けられ、年齢、性別、脳卒中の重さ(NIHSSスコア)、日常生活の自立度(Barthel Index=BI)、脳梗塞がいくつあるか、筋力、尿路感染(UTI)、前立腺肥大(BPH)などの項目を比べた。そして、どれが尿閉と強く関係しているかを統計で調べた。
次のことがわかった。
・尿閉になった人は全体の10.98%(109人)であった。つまり、10人に1人は尿が出せなくなっていた。・くわしく調べると、つぎの4つの項目が、尿閉になりやすい大きな原因であることがわかった:
- 女性(男性よりも約2倍なりやすい)- Barthel Index<40(重いADLの障害がある人は、約24倍なりやすい)- 尿路感染(UTI)がある人(約8倍なりやすい)- 良性前立腺肥大(BPH)がある人(約11倍なりやすい)
急性脳梗塞になった人のうち、約11%が尿閉になることがわかった。とくに、日常生活に強い支障がある人(BI<40)、尿路感染がある人、前立腺肥大がある人は、尿閉になりやすかった。また、女性も意外なことにリスクが高かった。尿閉をそのままにしておくと、失禁や感染、腎臓への負担などが起こるため、できるだけ早く見つけて対処することが大切である、
というおはなし。
感想:
『尿閉か否かはどうやって気づくの?』
以下、医師国家試験正答率98%のAIの回答コピペ↓
尿閉に気づくためのポイント
脳卒中後に尿が出にくい「尿閉(にょうへい)」状態になると、本人や周囲も意外と気づきにくいことがある。
1.「出ていない」時間に注目する
- 6時間以上まったく排尿がない
- トイレへ行きたがっているのに出ない
- 下腹部が張って苦しい
ただし、脳卒中後は感覚が鈍く、訴えられない場合もある。
定期的な排尿記録が重要。
2.下腹部の触診(恥骨の上あたり)
- ぽっこり硬くふくらんでいる
- 圧迫して痛むこともあれば、無反応の場合もある
尿がたまって膀胱が風船のように膨らんでいる場合は要注意。
3.膀胱エコー(BladderScan)の活用
- 簡易超音波機器を使って膀胱内の尿量を測定
- 300mL以上たまっていると尿閉の可能性が高い
エコーはもっとも客観的な方法。医療者による確認が望ましい。
よくある誤解
- 「少し漏れているから出ている」は誤り。溢流性失禁の可能性
- 「出ていないけど平気そう」は危険。感覚麻痺で気づかないだけかも
- 脱水と勘違いして水分を過剰に与えると、尿閉が悪化する危険がある
まとめると、尿閉は「身体が尿を出し方を忘れている」状態ともいえる。
放置すると感染や腎機能障害など深刻化するため、早期発見・対処が大切である。
