元2025 3月 ペルー
歯周病(Periodontitis)は、歯ぐきの炎症が進んで、歯を支える骨まで壊してしまう病気である。最近の研究では、この歯周病が口の中だけでなく、全身の病気とも関係していることがわかってきた。
脳の血管が詰まって起こる「虚血性脳卒中」もその一つであり、炎症や動脈硬化が原因になることがある。
そこで、歯周病と脳卒中の関係をはっきりさせるために、おおくの過去の研究をまとめて分析してみたそうな。
過去に行われた「歯周病と脳卒中」に関する研究を集めた。2024年4月までに発表された、大人を対象としたコホート研究や症例対照研究から、歯周病がある人とない人の脳卒中リスクを比べたものを選んで分析した。全部で16本の研究を取り上げ、そのうち10本について詳しい統計分析を行った。
次のことがわかった。
・歯周病がある人は、ない人に比べて「脳の血管が詰まる病気」になるリスクが約2.6倍高いことがわかった。・また、「ラクナ梗塞」と呼ばれるタイプの脳梗塞については、歯周病があるとリスクが5倍にまで上がることが示された。ただし、研究の間で結果にばらつきが大きく、確かな結論とは言いにくい点もある。・研究の信頼度を評価する仕組み(GRADE)では、脳卒中との関連は「信頼度が非常に低い」、ラクナ梗塞との関連は「中くらいの信頼度」と評価された。
この研究から、歯周病が脳梗塞、特にラクナ梗塞のリスクを高める可能性があることが示された。ただし、今のところはまだ証拠がはっきりしておらず、「そうかもしれない」レベルにとどまっている。これからもっと質の高い研究が必要である、
というおはなし。
感想:
『歯周病と脳梗塞なんてよく耳にするっぽいテーマだからとっくに結論が出ていると思ってたよ。』
以下、医師国家試験正答率98%のAIの回答コピペ↓
🧠 「歯周病と脳梗塞」──なぜ“定説っぽい”のか?
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 🔁 繰り返される語り | テレビ、新聞、病院のポスターなどで「歯周病は脳梗塞の原因に!」と頻繁に紹介されている。印象が刷り込まれる。 |
| 💬 健康啓発の都合 | 行動変容を促すために、科学的確実性より「わかりやすさ」を優先する傾向がある。因果でなくても「関係ある」で押し切る。 |
| 📉 疫学の限界が伝わらない | 「リスクが高い」=「原因である」と混同されがち。しかし実際は、リスク因子≠原因。 |
| 🧪 研究の質の問題 | 多くの研究が相関しか示しておらず、交絡因子(生活習慣・社会経済状況など)を完全に除外できていない。 |
🧬 じゃあ今回の論文ではどうだった?
- 歯周病がある人は虚血性脳卒中のリスクが約2.6倍、特にラクナ梗塞は5倍に上がるという結果。
- しかしその裏で:
- 🟡 エビデンスの確実性は「非常に低い」
- 🟠 研究間のばらつき(I²=96%)が極めて大きい
- 🔴 出版バイアスの可能性あり
つまり──
💡 「強い相関はあるが、因果関係とまでは言えない」
🔚 まとめ的にいうと:
✅ よく聞く話ほど、鵜呑みにせず“どのくらい確かか?”を問い直す視点が大事。
歯周病と脳梗塞の話は、まさに“信じたくなる説”と“科学的証明のあいだ”にぶらさがっているテーマである。
