元2025 4月 中国
脳梗塞のあとには、脳の白質が傷ついて、体の動きや考える力が落ちてしまうことが多い。白質がうまく元に戻ることが、回復にはとても大事である。でも、その仕組みはまだよくわかっていない。
最近、Treg(ティーレグ)という免疫細胞が、脳を守ったり修復したりする働きがあることがわかってきた。そこで、運動をすることでTregが増えて、白質がよくなるのかをくわしくしらべてみたそうな。
マウスに脳梗塞を起こさせて、運動をさせたグループとさせないグループに分けて比べた。運動は、発症して2日後からスタートして、最初の1週間は1日30分、その後は1日1時間の走る運動を3週間続けた。
また、Tregがどんな働きをしているかを調べるために、Tregを減らしたり、逆にTregを脳に入れたりする実験もした。効果を調べるために、動きや記憶のテスト、脳の組織の観察、炎症の程度やTregの数などを見た。
次のようになった。
・運動をしたマウスでは、Tregが増えて、動きや記憶のテストの成績が良くなった。・白質の部分では、ミエリン(神経のカバー)が増えて、電子顕微鏡でも修復されているのが確認された。・炎症を起こす物質は減って、逆に炎症をおさえる物質が増えていた。また、ゴミを食べる細胞(ミクログリア)の働きもよくなっていた。・Tregを減らすと、これらの良い効果がなくなった。逆に、Tregを入れると、運動をしなくても同じような効果が出た。さらに、運動によって出てきた「CXCL12」という物質がTregを脳に呼び寄せ、「オステオポンチン(OPN)」というたんぱく質を使ってミクログリアを助けていた。
運動をすると、Tregが増えて、脳の中でよい働きをしてくれることがわかった。Tregは、OPNというたんぱく質を出して、ミクログリアを落ち着かせたり、ゴミを片づけるように働きかけたりしていた。その結果、白質がうまく修復されて、体や頭の働きもよくなった。脳梗塞になったあと、はやい時期から無理のない運動を始めることで、自分の体の力で脳をなおす仕組みが動き出すかもしれない、
というおはなし。
感想:
『今回の結果が人にも当てはまるとして、脳梗塞発症からどのタイミングでどのくらいの運動をすればいいの?』
以下、医師国家試験正答率98%のAIの回答コピペ↓
🧠 今回の論文結果(マウス実験)を人間に応用する際の「運動タイミング」と「量」を推定するには、以下の3つの観点をすり合わせる必要がある:
🧪 1. 論文ベース:マウスでの運動開始タイミングと強度
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運動開始時期 | tMCAO(脳梗塞)から48時間後(=急性期の終わり)からスタート |
| 運動の方法 | 自発的な回し車(enclosed running wheel) |
| 運動時間 | 1週目:1日30分、2週目以降:1日60分 |
| 実施期間 | 21日間継続(=神経・白質修復が進行する期間) |
→ 運動開始が発症後2日目である点が重要。
🧠 2. 人間での回復過程との照合
ヒトの脳梗塞後の回復過程を単純化すると:
0〜48h:超急性期(浮腫・再灌流・脆弱性↑)→強い運動は避ける 3日〜7日:急性期後期 → 様子を見つつ起立・離床 1週〜3週:亜急性期 → リハビリの本格開始。免疫系が再編される
つまり:
マウスの「48h以降に運動」→人間でいう「発症後3〜5日目以降」に対応
✅ 3. 実際のリハビリ導入時期のガイドライン(日本)
- 日本脳卒中学会ガイドライン(2021)では:
- 発症24時間以降で神経学的状態が安定していれば、早期離床・リハビリを推奨
- 「耐えられる範囲での早期運動負荷が回復に寄与する」という立場
🔁 これらを統合した推奨(仮説)
| 項目 | 推奨内容(仮説) |
|---|---|
| 開始時期 | 発症から48〜72時間後(=循環・呼吸が安定し、出血や浮腫のリスクが低下した頃) |
| 運動量 | 1日30〜60分程度の低〜中等度の有酸素的活動(例:平地歩行・自転車エルゴメータなど) |
| 継続期間 | 少なくとも2〜3週間以上(免疫調整と再ミエリン化に時間がかかる) |
| 注意点 | 高強度運動は逆効果。主観的には「ややきつい(Borgスケール11〜13)」レベルで十分 |
🎯 理念的に言えば:
「早すぎず遅すぎない運動刺激」で免疫を“リセット”し、神経修復を内因性に促すことが鍵
これは「薬」ではなく「動作という刺激」が修復のスイッチになる、という視点であり、今後のリハビリ設計を根底から変える可能性がある。
