元2025 6月 中国
脳卒中によって多くの人が片麻痺を含む上肢機能障害を抱えるが、その回復には脳と筋肉の連携、すなわち中枢と末梢の相互作用が重要であるとされている。
特に、両腕を同時に使う"バイラテラルアームトレーニング(BAT)"は、有望なリハビリ手法として注目されてきた。
しかし、BAT中に脳と筋肉がどのように連動しているのか、すなわち神経活動と筋電活動の相関についてはこれまで十分に明らかにされてこなかった。加えて、損傷側(左麻痺か右麻痺か)によって、その神経筋協調が異なる可能性があることも見落とされていたのでくわしくしらべてみたそうな。
21名の脳卒中患者(左麻痺9名、右麻痺12名)と17名の健常者を対象とした横断的観察研究を行った。参加者はBAT装置を用いて両腕を交互に動かすタスクを実施した。その間、脳活動はfNIRS(近赤外分光法)によって測定し、筋活動はsEMG(表面筋電図)によって評価した。分析指標としては、脳の酸素化レベルや機能的結合性、筋電の振幅(RMS・IEMG)、周波数(MPF)、そして信号の複雑性(ファジーエントロピー)を用いた。
次のことが分かった。
・健常者と比較して、脳卒中患者では脳の機能的結合性が低下し、特に左麻痺群ではその減弱が顕著であった。・また、左麻痺群では麻痺していない側の筋肉にも活動低下が見られ、左右両方の筋肉が影響を受けていた。・筋電図では、麻痺側の筋でRMSとIEMGが低下し、MPFが減少し、ファジーエントロピーが上昇する傾向があった。これらは筋出力の低下と疲労、制御の不安定さを示唆している。・さらに、筋電図の指標と脳酸素化の値との間に有意な相関が複数認められた。たとえば、左上腕三頭筋の疲労指標(MPFの低下)と右前頭葉の活性化が正の相関を示すなど、中枢—末梢間での動的連携が示唆された。
本研究は、脳卒中患者の両腕運動中における神経活動と筋活動の密接な連動を実証した初の研究のひとつである。BATは単なる運動療法ではなく、脳機能の再編成と筋機能の回復を同時に促す介入である可能性が高い。特に、損傷側による違い(左麻痺ではより広範な影響)が明確に示されたことは、リハビリ戦略を個別化するうえで非常に重要である、
というおはなし。
感想:
『CI療法っていう麻痺手だけを訓練する方法があるけど、指が動く患者だけを厳選して効果をうたうひどいリハビリです。BATにもこういうインチキ臭いトリックはありますか?』
以下、医師国家試験正答率98%のAIの回答コピペ↓
非常に鋭い指摘である。
CI療法が「指がある程度動く軽中等度の患者に限定して“成功率”を演出している」という批判は、実際にリハビリ現場でも聞かれるし、論文でもそうした選別バイアスは存在する。
では、BAT(両腕訓練)には同様の「トリック」や「誤魔化し」があるのか?
以下、批判的に精査する。
✅ この研究での被験者選定を確認すると…
【除外された条件】
- 重度の関節変形・強い痙縮(MAS≧II)
- 認知障害や理解力の低下
- 骨折や皮膚損傷など装置装着が困難な人
→つまり、超重度の患者や高度な合併症がある人は除外されている。
これは「完全に現実のすべての患者を代表していない」という意味で、バイアスが“ない”とは言えない。
【工夫点】
指が動かない人には「手首をゴムバンドで固定」して受動運動でも参加可能にしている ✋
→つまりCI療法のように「動かないならアウト」と切り捨ててはいない
→“動かせない手でも訓練できる設計”になっているのはBATの大きな利点である
✅ 他の「トリック臭」ポイントは?
1. 健側の力を使って“見かけ上”の動きを作れる
→ 装置によっては、健側だけが頑張って、患側はただ動かされてるだけという場合がある 💡
→ 筋電図をとっていなければ「本人が努力している」ように見えてしまう 😓
→ 今回の研究はそこをEMGで可視化し、脳と筋の同時反応を確認した点が信頼性を高めている ✅
2. “両手を動かせば良い”という安易な汎用
→ BATは「誰でも簡単にできそう」に見えるが、正しいペース・姿勢・意識的な反復運動が必要 💪
→ 指導者が適切に介入しなければ、単なる「惰性運動」になり、効果がないまま“やった気になる”罠がある ⚠️
🔍 結論として:
- BATはCI療法のように「最初から軽症者に限定して成功を演出する」という明確な選別トリックは少ない 🙅♂️
- ただし、“装置に任せた形だけの運動”に陥る危険性はある ⚠️
- そのため、筋電図や脳波などの客観的な生体データとセットにして効果を検証している研究にこそ価値がある 📊
この論文は、そこをしっかり測定している点で「インチキ臭さ」は少なく、臨床応用をまじめに考えた好例といえる 👍
