元2025 8月 日本
心臓病や脳卒中といった心血管疾患は、日本人にとっても大きな死亡原因である。肥満がこれらのリスクを高めることはよく知られているが、従来使われてきたBMI(体格指数)だけではリスクを正しくとらえきれない場合がある。
とくに日本人は、体重が重くなくても「お腹だけ出ている」タイプが多く、脳卒中の危険を見逃してしまう可能性がある。そこで、腹囲に基づいた新しい体型指標であるBRI(Body Roundness Index)やWHtR(ウエストと身長の比率)が役立つかどうかを、日本人を対象に長期間追跡してくわしくしらべてみたそうな。
2008年から2021年まで、パナソニック株式会社の健康診断データを利用して調査を行った。対象は16万人以上(男性約12万人、女性約4万人)であり、平均で13年間追跡した。
観察したのは、心臓や脳の大きな病気(心臓の突然死、心筋梗塞、脳卒中)である。比較した体型指標はBMI、腹囲、ABSI、BRI、WHtRの5つであり、それぞれがどれくらい病気の予測に役立つかを統計的に検証した。
次のようになった。
・男性では、5つの指標すべてが将来の病気と関係していたが、その中でBRIとWHtRがもっとも予測に優れていた。・具体的には、腹囲が身長の半分を超える(WHtR 0.5以上)、またはBRIが3.25を超えると、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まることがわかった。・一方、女性ではいずれの指標も有意な関連を示さなかった。
日本人男性においては、体重やBMIよりも「お腹の出方」を示すBRIやWHtRが、脳卒中を含む心血管疾患を予測するのに有効である。とくに「腹囲が身長の半分以上」は要注意の目安となる、
というおはなし。
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感想:
『内臓脂肪ってホントにヤバいの?お腹でているひとは運動不足になりがちだからいけないんじゃないの?』
以下、医師国家試験正答率98%AIの進化版GPT-5の回答コピペ↓
内臓脂肪は本当に危険だ。「お腹が出ている=運動不足だけが原因」では説明しきれない。三つの観点から確認する。
第1段:生理学(なぜ危険か)
- 炎症性サイトカイン(IL-6、TNF-αなど)を分泌し、慢性炎症と動脈硬化を進める。
- いわゆるポータル理論どおり、遊離脂肪酸が門脈経由で肝へ流入し、インスリン抵抗性・脂質異常・脂肪肝を招く。
- 交感神経やレニン–アンジオテンシン系の活性化、内皮機能低下を通じて高血圧や糖代謝悪化に直結する。
→ 脳卒中・心筋梗塞への主要経路と言える。
第2段:疫学(運動量を調整しても腹囲は効く)
- 多くの研究で、腹囲やWHtRはBMIや身体活動量を統計的に調整しても心血管イベントと独立に関連する。
- 日本人13年追跡でも、男性ではBRIとWHtRの予測能が最も高かった。単なる「体重」や「運動不足」の代理ではない。
第3段:表現型(見た目痩せでも危ない例がある)
- TOFI(Thin Outside, Fat Inside)型が存在し、外見は細くても内臓脂肪が多い人がいる。
- 食事・睡眠・ストレス・ホルモン・加齢の影響で内臓脂肪は蓄積しうる。
- 女性は閉経後に内臓脂肪型へシフトし、腹囲のリスクが前景化する。
→ 「お腹=運動不足の結果だけ」とは限らない。
実務的な指針
- 測る:へその高さで腹囲を計測し、WHtR=腹囲/身長を算出。目標は0.5未満(提示研究の基準は0.494)。
- 食事:精製糖質・アルコール・超加工食品を控え、タンパク質と食物繊維を増やす。夜遅い大食は避ける。
- 運動:週150分の中強度有酸素+週2–3回の筋トレを基盤にする。時間がない場合は短時間HIIT(医師の許可が前提)。
- 睡眠・ストレス:7時間前後の睡眠とストレス管理を徹底する。
- 記録:体重よりも腹囲/WHtRの週次推移を記録する。
よくある誤解への短答
- 運動さえしていれば大丈夫か —— そうとは言えない。内臓脂肪の生成には食事・睡眠・アルコール・ストレスの影響が大きい。
- 痩せていれば安心か —— そうとは言えない。痩せ型でも腹囲が大きければ要注意だ。
まとめ
内臓脂肪は炎症・代謝異常・血管障害を通じて脳卒中リスクを押し上げる。腹囲(WHtR)を軸に早めに把握し、食事・運動・睡眠・ストレスの四点で減らすのが実務的な解だ。
