元2026 1月 アメリカ
中脳周囲型くも膜下出血(perimesencephalic SAH:pmSAH)は、出血が脳幹周囲に限局し、再出血や血管攣縮が少なく、予後が良好であることから、長年「原因不明だが静脈性出血だろう」と考えられてきた。
しかし実際には明確な静脈破綻が証明されたことは少なく、本当の出血源は不明のままであった。
近年、超高解像度の血管撮影用コーンビームCT(CBCT)が微小血管まで描出可能となったので、この技術を用いてpmSAHの真の出血源をくわしくしらべてみたそうな。
2023~2024年に入院した自発性くも膜下出血152例のうち、画像所見からpmSAHと診断された22例を後ろ向きに解析した。
その中で、血管造影時に高解像度CBCTが施行され、画質が十分であった13例を対象とした。
通常のDSA画像に加え、CBCTの三次元再構成像を用いて、脳底動脈穿通枝に微小な動脈瘤様突出(仮性動脈瘤)が存在しないかを、熟練した神経放射線医2名で詳細に検討した。
次のことが分かった。
・13例中8例(約6割)において、直径0.4~0.8mm程度の脳底動脈穿通枝由来の極小仮性動脈瘤が確認された。通常のCTや通常の血管造影では見逃されていた病変である。・これらの患者はすべて保存的治療のみで経過観察され、再出血や重度の血管攣縮は生じなかった。・追跡血管造影では、これらの微小瘤は自然消失しており、90日後の機能予後もほぼ全例で良好であった。
pmSAHの多くは「原因不明の静脈性出血」ではなく、「脳底動脈穿通枝の極微小動脈瘤(あるいはその仮性動脈瘤)破裂」で説明できる可能性が高いことが示された。すなわち、動脈性破綻であっても、自己封止して再破裂せず、治療介入なしに良好な転帰をとる病態が実在することになる。本研究は、pmSAHにおいては動脈性出血をまず疑うべきであると同時に、たとえ超微小動脈瘤が検出されても、必ずしも積極的治療を要しない「自然治癒型動脈破裂」という概念の存在を支持するものである、
というおはなし。
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感想:
『中脳周囲SAHがあんぜんみたいにいうけど、穿通枝構造が豊富だから必然的にそういう症例があつまってそう言うのよね。たとえば他の領域にも同様の微小脳動脈瘤が発生しうるはずで、それがみつかったときどう判断するの?保存でいいの?それとも治療介入するの?』
以下、医師国家試験正答率98%AIの進化版GPT-5の回答コピペ↓
発想はかなり本質を突いている。
中脳周囲SAH(pmSAH)が「安全そう」に見えるのは、
・脳底動脈穿通枝という
・極細・低流量・周囲圧の高い
・自己封止しやすい構造
が偶然まとまっている解剖学的“場”だからであり、
「穿通枝が豊富な領域では、同様の“自然に止まる微小破綻”が起きやすい」
という力学的必然の集積を見ているにすぎない、という解釈は合理的である。
では、同様の微小穿通枝動脈瘤が
・中脳周囲以外(例:視床、被殻、橋、小脳歯状核周囲など)
で見つかった場合、どう考えるべきか。
判断軸は実はサイズそのものではなく、次の三層構造になる。
第一層:血行力学
穿通枝は
・流量が小さい
・壁張力が低い
・破裂後すぐに周囲圧で虚脱しやすい
この条件がそろえば、仮性動脈瘤は「破れた瞬間に血栓化して終わる」タイプになりうる。
pmSAHはその典型標本である。
第二層:破裂後の挙動
重要なのは
・再破裂しない
・瘤が追跡で縮小・消失する
・攣縮や二次障害が出ない
という“自然史”である。
サイズが0.5mmであろうが、2mmであろうが、
この挙動を示すなら生物学的には「自己終息型病変」であり、
治療対象にしない合理性がある。
第三層:治療可能性と治療害
穿通枝0.5–1mm病変に対しては
・コイルは入らない
・ステントは母血管を殺す
・開頭は到達不能
つまり介入は
「治す」ではなく
「新たな穿通枝梗塞を作る」操作になる。
したがって
自然封止型である可能性が高いなら、
介入は理論的に害が利益を上回る。
では、一般論としてどう整理できるか。
中脳周囲以外で微小穿通枝動脈瘤様病変が見つかった場合の原則は:
1. 破裂しているか(出血分布が対応するか)
2. 追跡で形態が縮小・消失傾向か
3. 再出血兆候があるか
4. 治療手段が「構造的に安全に届くか」
この四条件で層別化する。
・破裂後に自己縮小し、再出血なく、介入が高侵襲しか選べない場合
→ pmSAHと同じ論理で保存が合理的。
・未破裂で、形態が増大し、母血管が太く、治療が低侵襲で可能な場合
→ 介入を検討。
本質はこうである。
pmSAHが安全なのではない。
「自己封止するタイプの穿通枝破綻」という病理クラスがあり、
たまたまそれが中脳周囲で最も観察されやすいだけである。
したがって、将来的に
高解像度CBCTや7T-MRAで
他領域の微小穿通枝仮性動脈瘤が見える時代になれば、
今の「全部治療か経過観察か」という二分法は崩れ、
・破裂様式
・封止様式
・再破裂力学
で分類する
“自然治癒型動脈破裂”という新しいカテゴリが
pmSAH以外にも拡張される可能性は高い。
そのときの基本姿勢は
見つかったから治す、ではなく
破裂しても勝手に終わる構造かどうかを見極める、
である。
