~ 5000超の記事をシンプルな単語で検索するよ!

2022年2月12日

重症くも膜下出血へのクリップは時代遅れ?

2022  2月  アメリカ


重症くも膜下出血は治療しても死亡率や合併症率が高いとされている。

コイルなどの血管内治療が普及した現在での、重症くも膜下出血へのクリップなどのマイクロ手術(microsurgery)の安全性と有効性を再検討してみたそうな。



動脈瘤性の重症くも膜下出血で、マイクロ手術の80人、血管内治療の61人の患者記録を解析した。



次のことがわかった。

・マイクロ手術群の患者には、脳内血腫がおおい、脳室内出血が少ない、後方循環系動脈瘤が少ない、といった特徴以外は血管内治療群と同様だった。

・減圧開頭術、水頭症シャント、がマイクロ手術群におおかったが、術中合併症の脳梗塞は血管内治療群よりも有意に少なかった。

・マイクロ手術群は、早期死亡率(22.5% vs 39.3%)が低く、12ヶ月後の良好転帰率(62.5% vs 42.6%)が高かった。


重症くも膜下出血患者へのクリッピングは、コイリングよりもすぐれていた、


というおはなし。
マイクロ手術


感想:

コイル治療がうわさにきくほど良いものではないことはわかった。

ほかに、以下のような背景も読み取れる。


くも膜下出血の「重症」はあまりあてにならない。

脳梗塞とはちがって即座に脳組織が破壊されるわけではないから、症状が一時的であり可逆的に完全回復できる患者が意外におおい。



そしてフェイクな「重症」もある。

くも膜下出血患者はたとえ重症でなくても、鎮静剤を投与され強制的に意識不明にされてしまう。

意識不明の報を受けた患者家族は、「そんなに重いなら先生のおっしゃるままに、、」とクリップやコイル治療の勧めに同意する。



なぜ鎮静剤で患者を意識不明にするのか? 

たぶんこういうこと↓。

建前は安静を保つためではあるが、

もし患者自身にクリップやコイル治療への同意を求めると一定割合で拒否する者が現れる。

すると、保存治療の事例が蓄積してしまい、動脈瘤をクリップやコイルで治療することの無意味さがやがて統計学的にあきらかになってしまうから。


これまで クリップやコイル治療が保存治療にすぐれるとするランダム化比較試験はおこなわれていない。

いまさら否定されると病院の仕事が減ってしまうので必死みたい↓。

ご意見 ご感想はこちら

名前

メール *

メッセージ *