元2023 3月 中国
頭蓋内出血の治療では早期の出血の拡大をふせぐことが主な目標である。
止血薬として広く使用されているトラネキサム酸が、頭蓋内出血患者に有益であることを示す研究があるものの、さらなる有効性と安全性については依然として議論の余地があるので、
メタアナリシスをこころみたそうな。
頭蓋内出血、くも膜下出血、外傷性脳損傷へのトラネキサム酸介入についてのランダム化比較試験を厳選してデータを統合 再解析した。
次のことがわかった。
・25の研究が対象となった。・トラネキサム酸は頭蓋内出血と外傷性脳損傷での血腫拡大を有意に抑制した。・くも膜下出血については、水頭症と再出血のリスクを有意に低下させた。・転帰悪化率、死亡率や深部静脈血栓症、肺塞栓症、脳梗塞の発生に有意差はなかった。
トラネキサム酸は頭蓋内出血や外傷性脳損傷の血腫拡大リスクを、あらたに血栓症を起こすことなく有意に低減し、くも膜下出血での水頭症や再出血リスクもあきらかに低下させた、
というおはなし。
感想:
トラネキサム酸は50年以上まえに日本人によって開発された。
止血効果と安全性はじゅうぶんに報告されているが、くも膜下出血への応用は的はずれな難癖がついて普及していない。
いっぽうで それより優れているはずの「クリップやコイル治療」は、効果を証明できるランダム化比較試験がいまだ世に存在していないため医療トラブルが絶えず、
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さいきん見つけたくも膜下出血治療についての無料の漫画↓が興味深い。
著者が激しい頭痛になり病院で検査を受けた途端になぜか意識不明となり、目が覚めると希望してもいないコイルが詰められていたという。後日コイルトラブルで言葉が出なくなり再手術を勧められるというノンフィクション。
まさにこれ↓
鎮静薬を打ってムリヤリ意識不明にしないと、必ず一定割合の患者が手術拒否の意思表示をするようになる。それが十分な人数に達すると、手術をしないほうが予後が良いことがあきらかになってしまうから、、、
漫画ついでに、
「アンメット ある脳外科医の日記」58-62話もおもしろい。
元脳外科医の作者が漫画でしかできない見事な手法で、クリップのみならずコイルでの未破裂脳動脈瘤治療を辛辣に批判している。