元2024 3月 オランダ
脳卒中後の中枢性疼痛(CPSP)は、しばしば従来の治療法に耐性があり、自然回復の可能性がほとんどないため、患者の人生に大きな負担を強いている。
一部の患者には安楽死の承認さえ与えられており、何の展望もない。
歴史的に、前帯状皮質は精神障害と慢性疼痛障害の両方の患者にとって有望な治療ターゲットであると考えられているため、前帯状回切除はこういった内科的治療抵抗性のCPSPにとって有用な戦略かもしれない。
しかし、中枢性疼痛に対する手術療法の研究は限られている。
そこで、CPSP患者に対して前帯状回切除術を施行してみたそうな。
2014年、60歳女性が大脳基底核と視床の出血性脳卒中によりCPSPを経験した。
痛みの範囲は右半身の顔から胸、腹、上下肢に最大強度の痛みを日常的に生じた。
モルヒネを含むあらゆる薬剤でも手に負えず、2019年に安楽死の許可がでた。
最終手段として、左右の前帯状回にたいして切除術が施行された。
次のようになった。
・術後、尿失禁や感情変化などの有害事象は起こらなかった。・14週後、疼痛による行動上の変化が観察され、次いで疼痛強度が減少した。・26週後には痛みは完全に消失し、安楽死を検討したことを後悔するほどであった。
前帯状回切除術は脳卒中後の中枢性疼痛患者に対する "最後の砦 "として適切な選択肢であると考えられる、
というおはなし。
感想:
精神神経的症状にたいする治療の最終手段としての脳構造への介入、という点で「ロボトミー手術」に酷似している。
これまで同様の報告が4件あるのみという。
それほどまでにつらい痛みってこと。
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