元2024 10月 中国
心房細動(AF)は、脳卒中や心不全の原因ともなる不整脈であり、生活の質や健康に深刻な影響を及ぼす。
近年、うつや不安といったネガティブな感情が心血管疾患と関連することがわかり、心房細動にも影響を与えているのではないかという考えが注目されている。
しかし、これまでの研究では、こうした感情が直接的に心房細動を引き起こすのか、それとも単なる相関関係に過ぎないのかが明確でなかった。
そこで、因果関係を明らかにするために、ネガティブな感情と心房細動の遺伝的関係からくわしくしらべてみたそうな。
Mendelian Randomization(MR)解析という方法が用いられた。MR解析は、遺伝的な変異(SNP)を用いることで、暴露因子(ここではネガティブな感情)と結果(心房細動)の因果関係を推定する手法である。
遺伝的変異は生まれつき決まっているため、環境や選択バイアスの影響を受けにくく、因果関係の推論がしやすいという特徴がある。この研究では、ネガティブな感情に関連する34個、心房細動に関連する102個のSNPを分析対象とした。
次のようになった。
・遺伝的にネガティブな感情のリスクが高いと、心房細動のリスクも上昇することが明らかになった。・一方、心房細動がネガティブな感情を引き起こす因果関係は認められなかった。・この結果は、ネガティブな感情が心房細動の発症リスクを高める可能性があることを示唆している。・また、この因果関係は遺伝的な要因によるものであり、心房細動患者のネガティブな感情は、病気に対する心理的反応や生活の質の低下といった可変的な要因に起因している可能性も高い。
ネガティブな感情が心房細動のリスク要因として働く可能性が遺伝的にあきらかになった。いっぽう、心房細動患者が抱える不安やうつ症状は、必ずしも遺伝的要因ではなく、適切な心理的サポートや生活習慣の改善で軽減が期待できる、
というおはなし。
うごくよ
感想:
心房細動を告げられると不安でネガティブな気持ちになる。
するとさらに心房細動が強化されるので、心房細動患者へのメンタルサポートが重要よってこと。
