元2024 11月 ドイツ
脳卒中を含む心血管疾患の再発予防は、患者の生活の質を保つ上で重要な課題である。
これまでの研究で、歯周炎が心血管疾患のリスクを高める可能性が指摘されてきたが、その具体的な再発リスクへの影響は十分に解明されていなかったので、
重度歯周炎が心血管疾患、特に脳卒中を含む再発性イベントにどのように影響するかをくわしくしらべてみたそうな。
心血管疾患の既往がある患者1,002人を対象に、歯周炎の重症度を評価し、10年間にわたる追跡調査を行った。
特に「歯の30%以上で付着喪失が5mm以上」という基準で重度歯周炎を定義し、再発性心血管イベント(脳卒中、一過性脳虚血発作、心筋梗塞、心血管死)の発生率との関連を解析した。
次のようになった。
・10年間の追跡調査で、参加者の42.8%が再発性心血管イベントを経験した。・重度歯周炎がある患者では再発リスクが1.26倍に増加した。・一方、毎日の歯間清掃や1日2回以上の歯磨きを行っている患者ではリスクが0.71倍に低下し、計算上、歯周炎がない人よりもリスクが低くなる可能性が示唆された。・特に歯間清掃は、歯周炎が引き起こす全身性炎症を抑えることで、脳卒中や心筋梗塞の再発リスクを減少させると考えられる。
重度歯周炎は、脳卒中を含む再発性心血管イベントの独立したリスク因子である可能性が示された。しかし、歯間清掃や歯磨きのような適切な口腔ケアを行うことで、リスクを顕著に低下させることが可能である、
というおはなし。
感想:
重度歯周炎があって再発リスク1.26倍になっても、口腔ケアによって0.71倍のリスク低下が図れるので、
1.26x0.71=0.89倍となり、重度歯周炎がない者よりもリスクが下がる、ってこと。
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