元2024 11月 アメリカ
長期介護施設に入居する高齢者では、複数の慢性疾患や虚弱な状態を抱えていることが多く、降圧薬を継続することが必ずしも有益ではない場合がある。
特に、余命が限られた患者においては、血圧管理によるリスク低減効果が小さい一方で、副作用や転倒のリスクが増える可能性がある。このため、薬を減らす「減薬(デプレスクリビング)」が注目されている。
しかし、降圧薬を減薬した場合、脳卒中や心筋梗塞のリスクがどのように変化するのかは十分に明らかにされていなかったのでくわしくしらべてみたそうな。
アメリカ退役軍人局(VA)の長期介護施設に入居する65歳以上の高齢者13,096人を対象に、降圧薬の減薬が脳卒中や心筋梗塞による入院リスクに与える影響を調査した。
具体的には、降圧薬を30%以上減量または中止した患者群と、降圧薬を継続した患者群を比較する「ターゲットトライアルエミュレーション」という手法を用いた。これは、観察データを用いてランダム化比較試験に近い条件を再現する解析法である。
次のようになった。
・2年間の観察研究の結果、降圧薬の減薬群と継続群の間で脳卒中や心筋梗塞による入院率に有意な差は見られなかった。減薬群:11.2%継続群:8.8%リスク差:2.4%ポイント(95%信頼区間:-2.3~7.1)・また、減薬による有害な影響や死亡リスクの増加も確認されなかった。
長期介護施設に入居する高齢者において、降圧薬の減薬や中止が脳卒中や心筋梗塞による入院リスクを有意に増加させない可能性が示された、
というおはなし。
うごくよ
感想:
降圧薬による脳卒中の予防効果はもともとごくわずかである→治療必要数NNT(number needed to treat)が大きい。
降圧薬の副作用→腎臓を痛めたり、クラっときて転倒して死ぬ。
こういった問題があるのに、自分だけはこの先何十年も生きると信じて疑わない高齢者が喜んで薬を飲む。
