元2025 3月 トルコ
近年、人工知能(AI)が医療分野において活用される機会が増えている。特に、脳卒中の診断や治療方針の決定を支援するツールとしての可能性が注目されている。
そこで、救急搬送された脳卒中疑い患者に対し、ChatGPTがどの程度正確に診断や治療の判断を行えるのかをくわしくしらべてみたそうな。
2023年11月1日から2024年4月30日までに、トルコのアンカラEtlik City Hospitalに救急搬送された脳卒中疑い患者を対象とした。対象は、救急隊によってストロークコードが発令された512名である。
患者の診断データ、病院での検査結果、治療内容をもとに、ChatGPTが下した判断と実際の医療チームの決定を比較した。
評価指標としては、感度(Sensitivity)、陰性的中率(NPV)、コーエンのカッパ係数(Cohen's kappa)を用い、ChatGPTの判断精度を統計的に検証した。感度は、実際に脳卒中である患者を正しく識別できる割合を示し、陰性的中率は、ChatGPTが「脳卒中ではない」と判断した患者のうち、本当に脳卒中でなかった割合を示す。カッパ係数は、ChatGPTと医師の判断がどの程度一致しているかを示す指標である。
次のようになった。
・ChatGPTの診断は、脳卒中の感度91%、大血管閉塞(LVO)およびtPA適応患者の陰性的中率(NPV)が97〜98%と高い数値を示した。また、カッパ係数は0.540〜0.562であり、医師の判断と中等度の一致を示した。・これらの結果から、ChatGPTは一定の精度で脳卒中の診断や治療判断を補助できる可能性が示された。
ChatGPTは、脳卒中の診断支援や治療方針の決定において有望なツールであることが示唆された。しかし、本研究は過去のデータをもとにした事後解析であり、実際の救急医療の現場でそのまま活用できるわけではない。また、医師の判断と完全に一致するわけではなく、AIの判断にはバイアスが存在する可能性がある、
というおはなし。
感想:
ふたつきほどまえに、救急車を呼ばなければならないシーンに遭った。
電話するまでのほんの短い間に、ChatGPTを使ったやり取りで得た予備知識のおかげで医療専門家の煙に巻かれずにすんだ。
その後の医師国家試験正答率98%のChatGPTによるセカンドオピニオンもまたほんとうに役に立った。
