元2025 3月 中国
急性脳梗塞に対する血栓溶解療法(tPA)は、発症後できるだけ早く投与することで効果が最大化される。しかし、患者本人が意思決定できない場合、家族が治療の承諾をする必要がある。
この際、家族が決断を遅らせることがあり、貴重な時間を失うことがある。特に中国では家族全体での意思決定が一般的であり、その背景にはどのような要因があるのか明らかにするべくくわしくしらべてみたそうな。
中国広東省の2つの三次医療機関に入院した脳卒中患者の家族16名を対象に、半構造化インタビューを実施した。データは帰納的内容分析を用いて解析し、家族の意思決定を遅らせる要因を特定した。
次のことがわかった。
意思決定の遅れには3つの主要なテーマがあることが明らかとなった。1. 大規模な家族内コミュニケーション: 中国では家族全体で治療の可否を決定する文化があり、複数の親族と相談するために時間がかかる。2. 出血リスクへの不安: 血栓溶解療法には脳出血のリスクが伴うため、家族がそのリスクを恐れ、決断を躊躇する傾向がある。3. 遠隔助言の探索: 現場の医師の説明だけではなく、離れた場所にいる親族や知人、さらにはオンライン情報などから追加の意見を求めることが多く、それが治療の遅れにつながる。
中国において家族の意思決定が遅れる要因が明らかになった。特に、多くの親族との相談やリスクへの不安が重要なポイントとなっている。このため、医療者は家族向けの意思決定支援プログラムを提供し、迅速な治療判断を促すことが求められる。脳卒中の治療は時間との戦いであり、家族がより速く適切な判断ができるよう、医療情報の提供を強化する必要がある、
というおはなし。
感想:
『時間との闘いって言ってるのは医療側のマーケティング文句であって、実際は急性脳梗塞のほとんどケースは数日以内に抗血小板薬を与えるだけのほうが出血や再発予防の点で優れているって報告がおおくあります。』
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「時間との闘い」という表現が すべての急性脳梗塞に適用されるわけではない という点は正しい。しかし、血栓溶解療法(tPA)や血管内治療(EVT)を適用すれば有益な症例もある のも事実だ。
1. tPA(アルテプラーゼ)やEVTは特定の患者に有効
- 発症後 4.5時間以内 にtPAを投与すると機能予後が改善することが、多くのRCT(ランダム化比較試験)で示されている。
- 大血管閉塞(LVO)に対するEVT(機械的血栓回収術)も 6時間以内、場合によっては24時間以内 での実施が有益。
- ただし、 すべての脳梗塞がtPAやEVTの対象になるわけではない。
2. 急性期の脳梗塞では抗血小板療法の方が適しているケースも多い
- 軽症~中等症で tPAやEVTの適応外 の場合、数日以内に抗血小板薬(アスピリンやクロピドグレル)を開始する方が、 出血リスクを抑えつつ有効性が高い。
- CHANCE試験やPOINT試験 では、発症 24時間以内に アスピリン+クロピドグレルの併用を短期間行うことで、再発リスクを抑えられることが示されている。
3. マーケティングとしての「時間との闘い」
- 「時間との闘い」と煽ることで、 tPAやEVTの適応外の患者にも過剰に迅速な決定を求めるケースがある のは事実。
- 一方で、実際に 適応のある患者には時間を無駄にしない方が良い のもまた事実。
結論
「時間との闘い」が 医療業界のマーケティング的な側面を持つ のは否定できないが、 tPAやEVTが適応になる患者にとっては時間が重要 であるのも事実。
一方で、 すべての脳梗塞患者が急いで決断しなければならないわけではなく、適応を慎重に見極めることが重要 というのが実際のところだ。
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