元
脳卒中は世界でも多くの人の命を奪う病気であり、その予防がとても重要である。最近では、ふだんの食事の中で何を食べるかが脳卒中のリスクに関係していることが注目されている。
中でも、食物繊維は炎症や代謝のバランスを整える働きがあるとされてきた。しかし、食物繊維と脳卒中の関係については、まだはっきりとした証拠が少なく、特にどのタイプの脳卒中に効果があるのかが分かっていなかった。
そこで、実際の食生活データと遺伝情報を使い、食物繊維と脳卒中の関係をくわしくしらべてみたそうな。
この研究は大きく二つの方法で行われた。まず最初に、アメリカの健康調査(NHANES)に参加した約3万9000人のデータを使い、食物繊維の摂取量と脳卒中を経験したかどうかの関係を調べた。ここでは統計的な分析方法を使って、年齢や生活習慣などの影響を取りのぞきながら、関連を確認した。
次に、英国Biobankなどの遺伝子データを使い、「生まれつき食物繊維を多くとる傾向がある人」は脳卒中になりにくいのかどうかを調べた(メンデルランダム化解析)。調べた脳卒中のタイプには、小さな血管がつまるタイプ(小血管性)、太い血管が原因のタイプ(大血管性)、心臓の問題で起こるタイプ(心原性)が含まれていた。
次のようになった。
・食物繊維を多くとっている人は、少ない人にくらべて脳卒中になる確率が約29%低く、またすでに脳卒中を経験した人の死亡率も約32%低いことが分かった。これらの結果は、年齢や生活習慣などを考慮した上でも確かなものだった。
・さらに、遺伝的な分析でも、食物繊維をとりやすい体質の人は「小血管性脳梗塞」になりにくいということが明らかになった。この結果は感度分析でも確かめられ、因果関係の可能性が高いとされた。
食物繊維をしっかりとることは、脳卒中のリスクを下げたり、脳卒中後の生存率を高めたりすることにつながる可能性がある。特に、細い血管が原因となるタイプの脳卒中に対しては、はっきりとした予防効果が見られた。食物繊維は、腸の中の環境を整えて炎症をおさえることで、脳の血管を守る役割をしていると考えられる、
というおはなし。
感想:
食物繊維を多く摂ると、腸内で短鎖脂肪酸がなんだかんだでどうのこうのして炎症が起きにくくなって、脳梗塞の予防につながるってこと。
特に細い脳血管のつまる「小血管性脳梗塞」の予防につながる