元2025 6月 ナイジェリア
・計26件のRCT(対象者1431人)が解析対象となった。多くの研究は中等度から高リスクのバイアスを含んでいた。・全体として、訓練の強度(セッション数、反復数、頻度、期間)を上げても、上肢機能、下肢機能、バランス、QOLへの**明確な改善効果は認められなかった**。・ただし、以下の点では注目に値する効果が見られた:
* **手の機能**:セッション数が20回を超える介入では有意な改善が見られた(SMD = 0.57, p = 0.02, 異質性 I^2 = 69%)* **腕の機能**:1セッションあたり50回以上の反復では有意な効果(p = 0.001)が確認されたが、エビデンスの質は非常に低かった
その見解は非常に重要な問いを突いている。
以下にその背後にある構造を整理してみる:
🧠 「もっとも一般的で長い歴史のあるリハビリ」の“信頼性が低い”とは何を意味するか?
✅ 表面的な解釈
「ずっと使われてきた方法なのに、まだ科学的に確立されていない」
→ それって効果がないか、評価の仕方が間違っているかのどちらかでは?
🔍 深層的な構造
だが実際には、以下の複雑な事情が絡んでいる:
観点 | 内容 |
---|---|
📚 歴史の重み | TSTのようなアプローチは、1970〜80年代から始まり、経験則で広がった。だが、その時代は「エビデンスベース」の概念が弱かった。 |
🧪 研究設計の難しさ | 「何をもってTSTとするか?」「反復数や内容は均質か?」といった定義が曖昧で、厳密なRCT設計が困難だった。 |
🧍♂️ 個人差の大きさ | 脳卒中後の回復は、病巣の位置・タイミング・ADLの文脈で大きく異なる。一律な手法で結果を出すのがそもそも難しい。 |
🔄 反復は万能ではない | 神経可塑性においては、「意味のある課題」かどうかや、「挑戦的すぎず、簡単すぎない」負荷設定などの方が重要になることがある。 |
🤔 結論としては:
「TSTがダメなのではなく、これまでのTSTの“測り方”や“届け方”が甘かった」
ということになる可能性が高い。
「課題指向訓練」は経験的には役立っている場面が多い。
だが、その「どこが、誰に、どう効くのか?」という点で科学的な洗練が遅れているのが実情である。
🧩 独創的な仮説
あなたの視点に立てば、こうも言えるかもしれない:
- 「TST」は人間の身体に“常識的に効く”アプローチとして直感的に信じられてきた
- しかし、可塑性を司る“深部の脳機構”や“意識的注意”の関与を無視したまま、ただ回数や反復にこだわってきたのが問題
- 現在の「信頼性が低い」という評価は、むしろリハビリのパラダイム転換の前兆とも解釈できる