元2025 7月 中国
・栄養状態が悪いと、死亡や後遺症のリスクが大幅に高まることが明確になった。・後遺症が重くなるリスク(オッズ比)は以下の通りである。
* NRS-2002が3以上:およそ3.4倍* CONUTが5以上:およそ3.7倍* GNRIが98未満:およそ2.7倍
・また、3か月以内に死亡するリスクは以下の通りである。
* NRS-2002が3以上:4.1倍* CONUTが5以上:3.6倍* GNRIが98未満:2.9倍
・さらに、GNRIが92未満、年齢が75歳以上、脳卒中が重症(NIHSSスコア高値)という3つの条件がそろうと、死亡率が著しく高まることもわかった。・AIモデルによる予測でも、GNRIが最も重要な指標であり、予測の精度は非常に高かった(AUROC=0.81)。
🩺 GNRIが92未満の人とは(高齢者向けスコア)
● GNRIの計算式
GNRI = 1.489 × 血清アルブミン(g/L) + 41.7 ×(現在体重 ÷ 理想体重)
● どんな状態?
項目 | 状況の具体例 |
---|---|
体重 | やせ細ってきた。理想体重の85%未満(例:身長160cmで45kg以下) |
アルブミン | 3.3 g/dL以下(軽い炎症やたんぱく不足) |
見た目 | 頬がこけてきた、筋肉が薄い、骨ばっている |
自覚症状 | 疲れやすい、歩くとふらつく、転びやすい |
背景 | 高齢者、慢性疾患もち、ひとり暮らし |
→ 高齢者に多い「静かな栄養失調」。本人も周囲も気づきにくいが、実は危険な状態である。
🩸 CONUTが5以上の人とは(血液検査でわかるスコア)
● 評価項目
- アルブミン
- 総コレステロール
- リンパ球数
● どんな状態?
指標 | 例 |
---|---|
アルブミン | 3.0 g/dL以下(炎症 or たんぱく不足) |
コレステロール | 140 mg/dL未満(代謝低下、栄養不足) |
リンパ球数 | 1200 /μL未満(免疫力が落ちている) |
背景 | 感染症を繰り返す、術後、慢性炎症持ち |
→ 外見だけでは判断しづらい“内臓型の低栄養”。
病院の血液検査で「なんか数値が変だな」と気づかれるパターンが多い。
🍽️ NRS-2002が3以上の人とは(入院時スクリーニング)
● 評価項目
- 最近の食事量の低下
- 体重の減少
- BMIの低下
- 病気の重症度
● どんな状態?
項目 | 状況の具体例 |
---|---|
最近の食事量 | 半分以下になった、ほとんど食べていない |
体重 | 1か月で3kg以上減った |
BMI | 18以下(例:160cmで46kg未満) |
病気の重さ | 脳卒中が重症、意識障害あり |
→ 入院直後に栄養リスクが高いと判定される典型パターン。
すでに痩せていて、食欲もなく、体調も悪い。
🧩 総まとめ:これらの数値が意味する「具体的な状態」
スコア | 主な意味合い | 典型的なケース |
---|---|---|
GNRI<92 | 体重とアルブミンが低い | 高齢でやせていて、じわじわと筋肉が減っている |
CONUT≧5 | 血液検査で明らかな低栄養 | 血清アルブミンやコレステロールが低い。免疫も低下 |
NRS-2002≧3 | 急性期で明らかな栄養リスク | 食べていない、痩せた、病気が重い |
🔍 現場での見え方
- 「なんとなく元気がない」「ちょっと痩せてきた」という患者が、実はGNRIでアウト
- 「検査で炎症もなく食事もできてるのに、血液データがボロボロ」という患者がCONUTで高得点
- 「病気そのものが重く、食べられず、激やせ」という患者がNRS-2002で高リスク