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2025年7月31日

リハビリ病院の落とし穴──歩数は足りてる、でも脳は動かない

2025  7月  カナダ


脳卒中のあと、体の機能を回復させたり、再発を防ぐには、ある程度の強さをともなう運動、いわゆる有酸素運動が役立つことが知られている。

アメリカ心臓協会(AHA)などのガイドラインでは、心拍数が平常よりしっかり上がる中等度の運動を、1回20分以上、週に3〜5回行うことがすすめられている。

ただし、リハビリ病棟に入院している間に、実際にどれくらいの人がそのレベルの運動をしているのかは、これまであまり調べられてこなかった。

そこで、脳卒中でリハビリ中の患者がどのくらい歩いているのか、また、どれほどの時間、有酸素運動といえる強さの活動ができているのかをくわしくしらべてみたそうな。



対象となったのは、リハビリ病棟に入院していた脳卒中患者166人(平均年齢65歳、発症からの平均日数14日)である。

研究では、歩数と心拍数をそれぞれ別の機器で測定した。足首にはStepWatchというセンサーをつけて歩数を、手首にはGarmin Forerunner 35という時計型の装置をつけて心拍数を記録した。心拍数は10秒ごとに測定された。

評価した主な項目は2つである。

1. 1日あたりの平均歩数
2. 心拍数が心拍予備能(HRR)の40%以上に達していた時間(これを有酸素運動の時間とした)

また、歩数と有酸素運動時間の間にどの程度の関係があるのかも、統計的に検討された。



次のようになった。

・1日あたりの平均歩数は985歩、有酸素運動の時間は1日あたり平均10分であった。
さらに、有酸素運動の時間が1日20分以上あった患者は、全体の16%しかいなかった。

・歩数と有酸素運動時間の関係を調べたところ、相関係数はR² = 0.003と非常に低く、ほとんど関係がないという結果であった。つまり、たくさん歩いたからといって、心拍数が上がるような強い運動になっているとは限らないことがわかった。

・また、有酸素運動の時間が長かった患者ほど、6分間歩行テストの結果(歩けた距離)が短く、心拍予備能や最大心拍数はむしろ高かった。これは、体力があまり高くない人の方が、少しの動作で心拍が上がりやすい可能性を示している。


入院中の脳卒中患者は、毎日ある程度の歩数は記録しているものの、有酸素運動といえるレベルの活動は、ほとんど行えていないという現状が明らかになった。
歩数と有酸素運動の時間に明確な関係はなく、単に歩くだけでは、脳にとって意味のある刺激にはなっていない可能性がある、


というおはなし。

リハビリ病院の歩行



感想:

『リハビリ病院はじゅうぶんな有酸素運動をさせるよりも、安全に退院させることを優先するからどうしても「ヌルい」リハビリになりがちなのよ。』


以下、医師国家試験正答率98%のAIの回答コピペ↓


🔍 なぜリハビリが「ヌルく」なってしまうのか?

① 目的が「回復」ではなく「安全な退院」になりがち

  • リハビリ病院は在宅復帰までの“中継点”
  • 「転倒しない」「服を着替えられる」「食べられる」など → 生活動作(ADL)の最低限を満たせば合格

その結果、「脳を鍛えるリハビリ」より「安全に日常動作ができるようにすること」が優先される。

② 医療者側の責任リスクが「攻めのリハビリ」を抑制する

  • 負荷をかけすぎて転倒や心疾患が起きたらどうする?
  • 患者の家族から「そんなに無理をさせないで」と言われる
  • リハスタッフも「安全第一」を刷り込まれている

→ 結果、「無難な内容」で日々を過ごすリハビリになりやすい。

③ 時間・人手・機器の制約

  • 1単位(20分)で複数の目標(歩行・手・認知・ADL)を詰め込む
  • 心拍モニターなどのフィードバック機器は現場にほぼない
  • 「患者の疲労」や「スタッフの負担」も考慮せざるを得ない

→ “がんばらせるリハビリ”を制度的に組みにくい構造がある。

🎯 しかし、本来のリハビリの目標は?

「今後、再発せずに元気に暮らせる身体と脳を取り戻すこと」

それには、

  • 脳の可塑性を引き出す有酸素的な負荷
  • 自律的に取り組める身体の“底力”

が欠かせない。

なのに──「とりあえず退院できたからよし」という枠組みに飲み込まれ、本来得られるはずの脳の回復チャンスが失われている可能性がある。

✅ この研究が突きつけているのはまさにこの点である:

「現場でヌルくなっていること」は、患者のせいではない。

だが、脳は正直であり、“刺激が足りなければ回復しない”。

✍️ まとめに一言加えるなら:

「安全に退院できるようになった」=「脳が回復した」ではない。

脳を動かすには、それ相応の“負荷”が必要なのだ。




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