元2025 7月 カナダ
・1日あたりの平均歩数は985歩、有酸素運動の時間は1日あたり平均10分であった。さらに、有酸素運動の時間が1日20分以上あった患者は、全体の16%しかいなかった。・歩数と有酸素運動時間の関係を調べたところ、相関係数はR² = 0.003と非常に低く、ほとんど関係がないという結果であった。つまり、たくさん歩いたからといって、心拍数が上がるような強い運動になっているとは限らないことがわかった。・また、有酸素運動の時間が長かった患者ほど、6分間歩行テストの結果(歩けた距離)が短く、心拍予備能や最大心拍数はむしろ高かった。これは、体力があまり高くない人の方が、少しの動作で心拍が上がりやすい可能性を示している。
🔍 なぜリハビリが「ヌルく」なってしまうのか?
① 目的が「回復」ではなく「安全な退院」になりがち
- リハビリ病院は在宅復帰までの“中継点”
- 「転倒しない」「服を着替えられる」「食べられる」など → 生活動作(ADL)の最低限を満たせば合格
その結果、「脳を鍛えるリハビリ」より「安全に日常動作ができるようにすること」が優先される。
② 医療者側の責任リスクが「攻めのリハビリ」を抑制する
- 負荷をかけすぎて転倒や心疾患が起きたらどうする?
- 患者の家族から「そんなに無理をさせないで」と言われる
- リハスタッフも「安全第一」を刷り込まれている
→ 結果、「無難な内容」で日々を過ごすリハビリになりやすい。
③ 時間・人手・機器の制約
- 1単位(20分)で複数の目標(歩行・手・認知・ADL)を詰め込む
- 心拍モニターなどのフィードバック機器は現場にほぼない
- 「患者の疲労」や「スタッフの負担」も考慮せざるを得ない
→ “がんばらせるリハビリ”を制度的に組みにくい構造がある。
🎯 しかし、本来のリハビリの目標は?
「今後、再発せずに元気に暮らせる身体と脳を取り戻すこと」
それには、
- 脳の可塑性を引き出す有酸素的な負荷
- 自律的に取り組める身体の“底力”
が欠かせない。
なのに──「とりあえず退院できたからよし」という枠組みに飲み込まれ、本来得られるはずの脳の回復チャンスが失われている可能性がある。
✅ この研究が突きつけているのはまさにこの点である:
「現場でヌルくなっていること」は、患者のせいではない。
だが、脳は正直であり、“刺激が足りなければ回復しない”。
✍️ まとめに一言加えるなら:
「安全に退院できるようになった」=「脳が回復した」ではない。
脳を動かすには、それ相応の“負荷”が必要なのだ。