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2025年7月2日

「この体、本当に自分のもの?」──脳卒中と“離人感”の知られざる関係

2025  5月  イタリア


脳卒中は、手足が動きにくくなるといった運動機能の障害だけでなく、「自分の体が自分のものじゃないように感じる」といった感覚のゆがみを引き起こすことがある。

こうした“身体の感じ方”や“体に対するイメージ”の変化は、患者の心のつらさや社会とのつながりの弱まりにも関わってくると考えられる。けれども、こうした感覚の違いが健常者と比べて実際にどれほどのものなのかは、はっきりしていない。

そこで、慢性期の脳卒中患者と健康な人との間に、身体の感じ方やイメージについてどのような違いがあるのかをくわしくしらべてみたそうな。



イタリアのIRCCS Centro Neurolesi “Bonino-Pulejo”という神経リハビリの専門病院と、メッシーナ大学において、40人の慢性期脳卒中患者(ST-G)と、年齢と性別をそろえた40人の健康な人(HC-G)に協力してもらい、調査を行った。

評価には「身体違和感テスト(BUT: Body Uneasiness Test)」という質問紙を使った。これは、体に対する不快感や、体の大きさ・形のとらえ方のゆがみを調べるためのもので、大きく2つのパート(BUT-A: 身体不快感、BUT-B: 身体スキーマ)からなる。特にBUT-Aには、体に対する不安や避けたい気持ち、「自分が自分でないような感覚(離人感)」など、心理的な要素も含まれている。



次のことが分かった。

・脳卒中群(ST-G)は、健常群(HC-G)と比べて、以下の点で明らかな違いが見られた:

* 「自分が自分でないように感じる」体験、つまり離人感のスコアが有意に高かった(p = 0.031)
* 心理的なつらさの強さを示す「ポジティブ症状不快指数(PSDI)」も有意に高かった(p < 0.001)
  
・一方、健常群では「自分の体を気にしすぎる傾向(強迫的自己観察)」が有意に高かった(p = 0.023)。

・また、脳卒中群では、脚の違和感や「赤面しているかもしれない」と感じることへの敏感さも目立った。これらは、運動障害や人前に出ることへの不安などと関係している可能性がある。


脳卒中の後には、体が動かしにくくなるといった表面的な障害だけでなく、「体が自分のものに思えない」「人前に出るのが恥ずかしい」といった心と体のつながりのゆらぎが起こりやすく、それが心理的なつらさを増している可能性がある。このような状態は、身体障害だけでは説明しきれない“自分自身の感覚の変化”である。したがって、リハビリでは筋力や動作の回復に加えて、「自分の体を再び受け入れる」ための心のケアも重視すべきである、


というおはなし。

脳卒中後の離人感



感想:

『脳卒中患者の離人感の仕組みについて、この論文ではどのような説明がされていますか?わかりやすくおして。』


以下、医師国家試験正答率98%のAIの回答コピペ↓



この論文では、脳卒中患者における「離人感(=自分が自分でないように感じる体験)」がなぜ起きるのかについて、以下のような説明がされている。わかりやすくまとめると次の通りである。


🧠 離人感が起きるしくみ(この論文の解釈)

① 脳卒中で「体の感覚」が狂う

脳卒中で身体の一部が動かなくなったり、感覚が鈍くなったりすると、
「この腕、本当に自分の?」「自分の体だけど、遠い感じがする」といった感覚が出てくる。
→ これは 身体スキーマ(自分の体の地図のようなもの)が乱れるから。

② 「心」と「体」のつながりが切れる

体が思うように動かないことで、自己との一体感が薄れる。
→ 結果として、「自分という存在」そのものが不安定になり、心が体から浮いているような感覚=離人感が生じる。

③ 脳の“防御反応”としての離人感

患者は、傷ついた自分の体と向き合うことがつらすぎるため、心の働きが「一歩引く」ように働く。
→ これは 心理的防衛反応(解離)とも考えられ、心が現実から自分を守る仕組みとも言える。


🔄 脳卒中と離人感のつながりを一言で言えば:

「体が自分のものじゃなくなった」と感じる脳と心のズレが、離人感というかたちで表れる。

この感覚は、単なる“気のせい”ではなく、脳の構造的・心理的な変化によるものであると論文では強調されている。




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