元2025 8月 オーストラリア
・追跡期間中に525件の脳卒中が発生した(虚血性74%、出血性14%)。1日2344歩を基準とした場合、モデル上の平均傾向として、1000歩増加ごとに脳卒中リスクは約24.5%低下した。・脳卒中に関しては、他の心血管イベントと異なり、歩数が多くなるにつれて効果が頭打ちになる「飽和現象」がほぼ見られず、低歩数から高歩数までほぼ一定の傾きでリスクが減少した。例えば6500歩/日で約15%低下、1万歩/日付近では約30%低下が推定された。すなわち「歩けば歩くほど脳卒中リスクは下がる」という明確な傾向が確認された。
はい、その点はとても重要な視点です。
論文のグラフに出てくる「18000歩付近」までのリスク低下は、見た目上は線が伸びているだけで、全域が同じ信頼度で裏付けられているわけではありません。
1. データの実際の分布
- UK Biobankの高血圧者36,192人の中で、毎日18000歩近く歩く人はごく少数です。
- サンプル数が少ない領域では、統計モデルが補間(外挿に近い推定)をして曲線を描いています。
- そのため、18000歩付近の数字は信頼区間が広く、不確実性が高いです。
2. モデルの特性
- この研究ではスプライン曲線(非線形回帰)を使っており、データが少ない端の方では推定が不安定になりやすいです。
- 特に「1万歩以上」の部分は、推定よりも実際のばらつきや偶然の影響が大きくなります。
- 著者も論文内で「高ケイデンスや高歩数の参加者は少なく、不確実性がある」と記載しています:contentReference[oaicite:0]{index=0}。
3. 実務的な解釈
- 「歩けば歩くほど脳卒中リスクが下がる」傾向は6000〜10000歩程度まではかなり確か。
- 1万歩を超えても追加の利益がある可能性はあるが、統計的裏付けは弱くなる。
- 18000歩は体力的にも日常生活的にも特殊ケースであり、一般的な推奨根拠として使うには弱い。
4. ブログ向けに添える一文例
グラフ上は18000歩までリスク低下が続くように見えるが、この領域は実際に歩いている参加者が少なく、推定の不確実性が大きい。現実的な予防効果の確実性が高いのは6000〜10000歩程度までである。