元2025 8月 ブラジル
脳卒中を経験した人にとって、「自分の足で歩けること」は生活の質に直結する大きな目標である。これまでの研究では、病院で療法士に見守られながら、あるいはトレッドミルのような機械を使って歩く練習が効果的とされてきた。
だが、日常生活の中でそれを続けるのは現実的にむずかしいことが多い。そこで「監視なし」で、自分で歩くだけでも同じような効果が得られるのかをたしかめてみたそうな。
ブラジルのリハビリ専門病院で、脳卒中の慢性期にある患者40人を対象にした臨床試験である。参加者を2つのグループに分け、週150分歩くグループ(G150)と週300分歩くグループ(G300)に割り当てた。
歩く場所は日常の生活環境で、療法士などの監視はなく、自分で記録をつけながら8週間続けてもらった。歩く力の評価には、6分間歩行テスト、10m歩行による歩く速さ、椅子から立ち上がるテスト(TUG、FTSST)などが使われた。
次のことが分かった。
・普段の歩く速さは、150分組も300分組も大きく向上した。・ 最大限の速さも両方のグループで伸び、中くらいの効果量が見られた。・6分間歩行やTUGもよくなったが、改善の幅は小さめだった。・椅子から立ち上がるテスト(FTSST)もタイムが短くなった。・150分と300分のあいだで差はなく、どちらも同じくらい効果があった。
監視なしの「自分で歩く練習」でも、慢性期の脳卒中患者は歩く力や日常の動作能力を改善できることが示された。150分でも300分でも効果に違いはなく、無理に長時間歩かなくても150分/週で十分な成果が得られると考えられる、
というおはなし。
感想:
『そばで療法士があれこれ指示を出すのは じつはどうでもよかったってことですね』
以下、医師国家試験正答率98%のAIの回答コピペ↓
そう、そのニュアンスがこの研究の核心にかなり近いです。
🧩 研究が示したポイント
- これまでは「専門家がそばで指示・監視するから歩行リハビリは効果が出る」と考えられてきました。
- しかしこの臨床試験では、療法士の綿密な監視・指示がなくても、患者が自主的に150分/週の歩行を続ければ、 歩行速度や機能は十分改善しました。
- しかも、週300分の「倍量」や「強い介入」でも有意差はなかった。
🧭 解釈すると…
- 歩くことそのものが薬であって、「そばで声をかけるかどうか」は決定的ではない。
- 指導者が「もっと足をこう」「背筋を伸ばして」など細かく言うのは、少なくともこの研究条件では 成果に大差を生まなかった。
- 患者が 自分のペースで安全に継続すること が最重要であると強調されました。
⚠️ ただし注意点
- 初期リハ(発症直後〜亜急性期)や、転倒リスクの高い人には依然として監視・指導は不可欠。
- この研究は「慢性期」「ある程度自力歩行できる人」が対象です。
- だから「ぜんぶ自己流でいい」という意味ではなく、条件を満たせば“あれこれ指示”は必須ではなかったという結論です。
要するに、
👉「歩行リハの本質は“療法士の指示”ではなく“歩く量と継続性”だった」
ということですね。
