元2025 11月 アメリカ
・6か月後に不整脈が再発した人の割合は、
* コーヒーを飲んだグループ:47%* コーヒーをやめたグループ:64%
・つまり、コーヒーを飲んでいた人のほうが再発が少なかった。・統計的にも有意な差があり(再発リスク39%減)、副作用や脳卒中などの重大なトラブルも増えていなかった。
その疑問はとても鋭いです。実際、研究の著者たちも「コーヒーをやめたストレスや離脱症状が不整脈を誘発した可能性」を検討しています。
■ 禁カフェイン群の“離脱ストレス”は考慮されているか
研究では、禁カフェイン群のうち約3割(31%)が「完全にはコーヒーを断てなかった」と報告されています。つまり、多くの人が「完全な断コーヒー生活」に耐えられず、少量摂取していたことになります。それでもなお、再発率は禁カフェイン群の方が高かったのです。
著者らはこの点についてこう述べています:
“The continued separation of survival curves implies that the difference may be more attributable to a benefit of coffee consumption rather than harm from abrupt cessation and withdrawal.”
(生存曲線の差が時間とともに広がっていることから、この結果は「禁断の害」ではなく、「コーヒー摂取の利益」を示している可能性が高い。)
■ 離脱による交感神経の変化は?
カフェインを急に断つと、頭痛・倦怠感・集中力低下・軽い抑うつといった交感神経の低下状態が数日〜1週間ほど起こることがあります。ただし、カフェイン離脱によって心房細動が誘発されるという医学的エビデンスは乏しいとされています。むしろ、離脱中は心拍数が低下しやすく、交感神経刺激による発作は減ると考えられています。
■ それでも心理的ストレス要因は否定できない
一方で、研究者らも限界として「心理的ストレスや行動変化を完全にコントロールできていない」ことを認めています。特に、「長年の習慣を断たれたことによるストレス」「日常の楽しみが減ることによるイライラ」は、間接的に自律神経を乱す要因になり得ます。したがって、禁カフェイン群の再発率上昇には「生理的+心理的な要素の複合効果」が関係していた可能性は十分あります。
■ まとめると
- 離脱ストレスだけで不整脈が起きた証拠はない。
- ただし、長年のコーヒー習慣を急に断つことはストレス源となり、自律神経の乱れや生活の質低下を引き起こし得る。
- そのため、“やめるより、適度に飲み続けるほうが心身ともに安定する”という結果は、心理面を含めても理にかなっている。
つまり、「禁カフェイン群が再発したのはストレスのせい」という見方も完全に的外れではなく、“カフェインの効果+生活リズムの安定”の両方が、心房細動を防いだと考えるのが自然です。
