~ 5000超の記事をシンプルな単語で検索するよ!

2025年12月21日

130/80を信じすぎると危ない? 脳卒中後「下げすぎ血圧」と認知機能の意外な関係

2025  12月  中国


脳卒中のあとに起こる認知機能の低下(PSCI)は、とてもよくみられる後遺症であり、日常生活や社会復帰に大きな影響を与える問題である。

しかし、脳卒中後の血圧管理については「再発を防ぐこと」が重視される一方で、認知機能との関係はあまり注目されてこなかった。

とくに、拡張期血圧(下の血圧)が低すぎることが、回復期の脳にどのような影響を与えるのかについては、はっきりしたデータが少なかった。

そこで、脳卒中後のリハビリ期間における拡張期血圧と、認知機能障害との関係を、実際の診療データを使ってくわしくしらべてみたそうな。



中国のリハビリテーション施設に入院した脳卒中患者を対象とした後ろ向き研究である。
2022年から2024年までに入院した508人が解析に含まれた。

認知機能の評価には、広く使われているMoCA(モントリオール認知評価)を用いた。
発症から3か月以降に行った検査で、基準以下の点数を一度でも示した場合を認知機能障害ありと判定している。

拡張期血圧は、入院初期に測定された値の平均を使い、
75mmHg未満
75~85mmHg
85mmHg超
の3つのグループに分けて比較した。

そのうえで、年齢や性別、ほかの病気などの影響をできるだけ取り除く統計解析を行い、拡張期血圧と認知機能障害の関係を調べた。



次のことが分かった。

・約5か月半の観察期間中に、全体の4割以上の人が認知機能障害を示した。

・拡張期血圧が低いほど、認知機能障害が起こりやすかった。
とくに75mmHg未満のグループでは、認知機能障害のリスクが約2.6倍高かった。

・グラフで詳しく見ると、拡張期血圧と認知機能障害の関係は直線ではなく、80mmHg付近を境にリスクの動きが大きく変わることが分かった。

・80mmHgを下回るとリスクが急に高くなり、80mmHg以上ではリスクはあまり変わらなかった。

・これらの結果は、年齢や脳の萎縮、心房細動などを考慮したあとでも同じ傾向であった。


脳卒中後のリハビリ期に拡張期血圧が低すぎると、認知機能障害のリスクが高くなる可能性が示された。
重要なのは、血圧は低ければ低いほどよいと単純には言えない点である。
とくに回復期の脳では、下の血圧が80mmHgを下回らないことが、脳の働きを保つうえで重要かもしれない、


というおはなし。

拡張期血圧と認知機能



関連記事:





感想:

『さいきんのお医者さんは130/80を目標にしろと言ってきます。これを真に受けて降圧をガンバルと、脳卒中の再発可能性をほんのすこしばかり下げるかわりに認知機能を損なう可能性を大きく高めてしまう可能性があるってことですね。』



以下、医師国家試験正答率98%AIの進化版GPT-5の回答コピペ↓


結論から言うと、その理解は方向としてはかなり近いが、言い切りすぎると少しだけズレる。
論文に即して、正確に言い直すとこうなる。


まず、この論文が示している事実である。

・130/80を目標にした降圧は、再発予防の観点では一定の利益がある
・一方で、脳卒中後の回復期・リハビリ期において
 拡張期血圧(下の血圧)が80mmHgを下回ると
 認知機能障害(PSCI)のリスクが有意に高くなる
・そのリスク上昇は小さな差ではなく、DBP75mmHg未満では約2.6倍である
・DBPとPSCIの関係は直線ではなく、80mmHg付近を境に急に悪化する非線形関係である


ここを踏まえると、あなたの文章はこう整理できる。

さいきんのお医者さんは130/80を目標にしろと言ってくる。
これを真に受けて一律に降圧をがんばると、
脳卒中の再発リスクはわずかに下がるかもしれないが、
脳卒中後の回復期では、
拡張期血圧が下がりすぎることで
認知機能を損なうリスクを大きく高めてしまう可能性がある。

ここまでなら、論文の結論と整合的である。


重要なのは次の2点である。

1つ目。
この論文は「130/80が間違っている」とは言っていない。
言っているのは、回復期においてDBPを下げすぎることは危険かもしれない、という点である。

2つ目。
「再発を防ぐ利益がほんのすこしばかり」という表現は、
脳卒中再発というハードエンドポイントを考えると、やや強い。
再発予防の利益は確かに存在するが、
その利益と引き換えに、見逃されやすい認知機能の害が生じうる、
というバランスの問題である。


一文で、いちばん論文に忠実にまとめるなら、こうである。

130/80を目標とした一律の降圧は、再発予防には一定の効果がある一方で、
脳卒中後の回復期では、拡張期血圧を80mmHg未満に下げすぎることにより、
認知機能障害のリスクを有意に高めてしまう可能性がある。

これは煽りではなく、この論文が静かに示している核心である。

あなたの違和感は、論文の読み取りとしてはかなり正確である。
あとは「言い切りの強さ」を、どこまでブログで許容するかだけの問題である。



ご意見 ご感想はこちら

名前

メール *

メッセージ *