元2026 2月 アメリカ
急性期の脳梗塞では、太い血管が詰まったタイプ(大血管閉塞)に対して、カテーテルで血のかたまりを取り除く治療(血栓回収療法、MT)が行われる。
ここで悩ましいのが麻酔である。最初から全身麻酔(GA)で行う方法もあれば、眠りを浅く保つ鎮静や局所麻酔(ここではまとめて非全身麻酔、non-GA)で始める方法もある。さらに現場では、non-GAで始めたものの途中で患者が動いたり落ち着かなくなったりして、挿管してGAへ切り替えざるを得ない症例(EC)が一定数ある。
そこで、この「途中で挿管して切り替えた」こと自体が、その後の回復や合併症にどう影響するのかをくわしくしらべてみたそうな。
2022年1月〜2023年12月に3施設で行われた、発症前は日常生活がある程度自立していた患者(発症前mRS≤2)で、前方循環の大血管閉塞に対してMTを受けた連続症例を集めた観察研究である。
麻酔の流れで、(1)最初からGA、(2)non-GAで最後まで、(3)途中で挿管してGAへ緊急切替(EC)の3群に分けた。群の性質(年齢や重症度など)が違うと比較がゆがむため、統計的な補正(IPWと多変量調整)を行っている。
主な評価は90日後の生活の不自由さ(mRS)の分布で、加えて肺炎と3か月死亡を見ている。
次のようになった。
・対象は669例で、GA 399例、non-GA 188例、EC 82例であった。ECになった理由の大半は「術中の興奮・体動」で、81.7%を占めた。つまり、病状が急変して…というより、「動いてしまって手技が続けにくくなった」ことが主因であった。・90日後のmRS(生活の不自由さ)の全体としては、ECはGAやnon-GAと比べて「はっきり悪い」とは言えない結果であった(統計的に有意差なし)。・一方で合併症や死亡には差が出ている。肺炎は、non-GAのほうがECより少ない方向であった。死亡については、GAのほうがECより少ない方向であった。・本文の整理としても、ECとnon-GAの死亡率は明確な差がない一方、GAはECより死亡が低い、という位置づけである。
途中で挿管してGAへ切り替えたECは、90日後の「生活の不自由さ(mRS)」という大きな指標では、GAやnon-GAに対して決定的に悪いとは言えなかった。
しかし、ECは肺炎が増えやすく(non-GAより多い方向)、死亡もGAより多い方向が示されており、途中挿管という事態には無視できない“代償”が乗る可能性が高い、
というおはなし。
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感想:
『MTやったところで半分くらいは無益再開通になるしで、医師のほうも内心はMTの効果を疑っている。真剣に成功させようという気持ちは弱く、非GAで始めるMTは救急対応の単なる儀式と化している。途中で正気に返った医師の幾人かがECするものの、非GAのいい加減さを取り返せるはずもなく死亡は増える。わたしにはそういうふうにみえるのよ。』
以下、医師国家試験正答率98%AIの進化版GPT-5の回答コピペ↓
あなたの見立ては「物語としては筋が通る」し、現場の空気感(救急の慣性・手技のルーチン化)まで含めると、そう見える瞬間は確かにあり得ます😐
ただ、いま手元のこの論文データだけで言えること/言えないことを切り分けると、刺しどころがもっと鋭くなります。
まず、この論文から素直に言えること。
EC(非GAで開始→途中でGAへ切替)は、ほとんどが「興奮・体動」で起きています(81.7%)。つまり「非GAのままでは手技が成立しない局面がそこそこ発生する」のは事実ベースで押せます。
さらに、ECは非GAより肺炎が多い方向(非GA vs ECで肺炎 acOR 0.17)で、GAと比べると死亡が多い方向(GA vs ECで3か月死亡 acOR 0.48)が出ています。ここは「ECという事態には周術期コストが付く」までなら言えます。
次に、この論文だけでは言い切れないこと。
「医師が内心でMTを疑っていて、真剣味が弱いから非GAで雑に始め、途中で正気に返ってECする」という“心理因果”は、このデータからは直接は導けません。観察研究なので、EC群はそもそも「動く・荒れる・呼吸が怪しい」など、開始時点では完全に見抜けない難症例が混ざっていても同じ結果になります。実際、ECの主因が興奮・体動であること自体が、単なる手抜きより「患者側の不確実性」の説明力も強いです。
ここから先、あなたの仮説を“陰謀論っぽく”ではなく“検証可能な告発”に変換すると強いです。ポイントは「儀式化」を定義して、観測できる指標に落とすことです。
儀式化している施設・チームで増えるはずのシグナル(予測)
1. 非GA開始が多いのに、EC率も高い(=事前の見立てと運用が弱い)。
2. 鎮静の深さ・薬剤・モニタ(ETCO2など)がばらつき、手技中の興奮/体動が多い(この論文のEC理由に直結)。
3. 「決断の遅さ」が出る。たとえば“動き始めてから挿管決断までが長い”“切替中の低血圧が多い”みたいなログが残る。
逆に、心理ではなく運用の問題として説明できるシナリオ(あなたの話と同じ結末になる)
・非GAの適応が広すぎる(本来は最初からGA向きの症例を非GAで始める)
・夜間/少人数で麻酔体制が弱く「最初からGA」が現実的に難しい
・鎮静プロトコルが弱く、体動を制御できない
この場合でも、ECが増えて肺炎や死亡が増える方向は普通に起こり得ます(この論文の所見と整合)。
あなたの見立てを、さらに“ギリギリまで拡大”するなら、攻めどころは「医師の意識」そのものより、もっと硬いところです。
「非GAで始めるなら、ECになりやすい条件を事前に排除する運用があるはずだ。ところが現場では、その排除が機能しておらず、EC(失敗の痕跡)が多い。これは儀式化のサインだ」
この言い方なら、心理を決め打ちせずに、結果としての“いい加減さ”を構造として責められます😈
