~ 5000超の記事をシンプルな単語で検索するよ!

2017年8月14日

運動イメージ訓練の歩行リハビリ効果がわかった


Effects of motor imagery on walking function and balance in patients after stroke: A quantitative synthesis of randomized controlled trials.
2017  8月  中国

実際に身体をうごかすことなくイメージだけで練習を行うことを「運動イメージ訓練」や「メンタルプラクティス」とよび、視覚的にイメージする方法や運動そのものをイメージする方法などがある。

脳卒中片麻痺患者への運動イメージ訓練の有効性は数多く報告されているが、歩行能力に限定したシステマティックレビューはおおくない。

そこで最新の研究をふくめてこれまでの成果をまとめてみたそうな。


研究データベースから関係するものを厳選し データを統合 再解析したところ、


次のようになった。

・被験者735人を含む17のランダム化比較試験がみつかった。

・訓練期間は6週間、1回あたり15分間、ビデオやオーディオを用いる方法がおおかった。

・通常訓練にくらべ運動イメージ訓練は歩行能力や運動機能の改善に より効果的だった。

・ただしバランス能力に有意な改善はなかった。

・歩行能力の改善効果は短.長期的にも有効だった。

・6週間未満の短期に限定すればバランス能力の改善もみられた。

運動イメージ訓練は脳卒中患者の歩行リハビリに有効であると考えられた。ただし測定値や方法にばらつきが大きいので さらなる研究が期待される、


というおはなし。

図:運動イメージ訓練

感想:

ちなみに上肢に限定すると、数ある治療法のなかでいちばん効果がでているのが運動イメージ訓練。
上肢リハビリ 良い方法 と ダメな方法

2017年8月13日

歩行対称性が改善する靴の中敷きの工夫とは


A textured insole improves gait symmetry in individuals with stroke.
2017  8月  アメリカ

脳卒中患者の歩行では麻痺足をあまり使わず健常足にたよりがちになる。

これを矯正するために健常側の靴に厚い中敷きを入れて麻痺側への体重移動を促す方法があるがあまり効果がない。

こんかい、突起物がたくさんついた中敷きを使用して歩行パラメータの改善度をしらべてみたそうな。


歩行に非対称性のみられる脳卒中患者17人について、
健常側の靴に厚さ1mmのシートに高さ3mmの突起物がたくさんついた中敷きをいれて歩行の各パラメータ(速度、頻度、歩隔、歩幅、単脚時間 等)を測定したところ、


次のようになった。

・立脚および単脚時の対称性、圧力中心のズレがあきらかに改善した。

・単脚支持時間が健常足で減少し 麻痺足で増加した。

・歩行の速度やペースは変わらなかった。

脳卒中患者の健常側の靴にイボ付き中敷きを入れたところ歩行の対称性が改善した,


というおはなし。
図:脳卒中の靴の中敷き療法


感想:

自分の経験にてらすと
歩行に際してはいまも健常な右足にたよることが多く、人混みを長時間歩くと右足のふくらはぎがまっさきにつってしまう。

歩行が非対称になる理由は
麻痺足の裏の触覚がにぶく足首に力を入れるべきタイミングがわからないため 細かな姿勢制御を健常足に頼らざるを得ないからである。

ぎゃくに中敷き療法のような小手先の工夫で健常足の支持時間が低下してしまうと歩行の安全性が損なわれると考える。

中敷き療法は足裏の感覚麻痺の改善にはまったくの無力であり、本質的な治療ではない。障害物のない実験室環境で歩行対称性を矯正できたとしても実生活にはなんの役にもたたないばかりか危険である。

[中敷き]の関連記事

2017年8月12日

みそが高血圧を抑え脳卒中予防になるはほんとうか?


Protective Effects of Japanese Soybean Paste (Miso) on Stroke in Stroke-Prone Spontaneously Hypertensive Rats (SHRSP)
2017  8月  日本

この↑研究論文のプレスリリースをうけて、つぎのようなニュースが世に出回った。

味噌由来の塩分なら血圧上昇が抑えられる!脳卒中を予防 広島大が発見(エキサイトニュース)

みそが血圧上昇抑制 大豆醸造時の物質関与か 塩の代わりに活用を 広島大学調査(日本農業新聞)


あたかも、みそから摂取する塩分はいくら摂っても高血圧になる心配がないばかりか むしろ脳卒中を防ぐ効果が増すかのように報道されている。


ところが論文には以下↓の図があって、
図:味噌の塩分とミクロの出血

この実験ではみそグループ(12匹)にマクロな出血事例がなかっただけで、顕微鏡レベルでの出血割合は高塩分グループとなんら差がないくらいに高いことがわかる。


たしかにみそには何か良い働きがあるのだろうけれど、味噌ラーメンのスープを飲み干してよい理由になるほどの根拠はなさそうである、


とおもった。

2017年8月11日

TIME誌:世界初!脳卒中患者で脳深部刺激療法


Exclusive: Woman Can Move Again After a Breakthrough Stroke Treatment
2017  8月  アメリカ

脳の奥に電極を埋め込んでパルス電流を流す「脳深部刺激療法(DBS)」はすでにパーキンソン病での手の震えの治療などに用いられている。

これを脳卒中麻痺からの運動機能を取り戻す目的で 世界ではじめて患者に応用してみたそうな。

・ジュディ59歳は2年前に脳卒中になり左半身が麻痺した。

・歩けるようにはなったものの、左肘は90度に曲がり手の指はまったく開くことができなかった。

・2016の12月、クリーブランドクリニックで小脳を刺激するDBS装置の埋め込み手術を受けた。

・装置に通電し 理学療法を4ヶ月間うけたところ、医師の想像をうわまわる回復を示した。

・手が開くようになり財布をあけたり着替えや料理ができるまでに回復した。

・実験プロトコールでは4ヶ月で装置をスイッチオフにして 持続効果を検証する予定であったが、喜んでいる彼女をみてスイッチを切るのは忍びないと考え通電を継続することにした。

・彼女はいまもDBSを受けながらリハビリを続け、クリニックでは次の患者の準備もできたところである、

というおはなし。
深部脳刺激
動画リンク↑
感想:

ビデオをみて、これは未必のヤラセであると確信した。
功名心あふれる医師とかまってちゃん患者が互いの気持ちをそんたく(忖度)しあった結果このようになった。

1件目から実験プロトコールを変更してしまっているのがなによりの証拠。装置をスイッチオフにせずに一体どうやって効果を検証できると言うのか?

患者があまりにも大げさに回復を演じてしまったものだから、スイッチオフにしたときにどのように振る舞う「べき」かが 医師にも患者にもわからなくなった。
ボロがでることを恐れて ほとぼりが冷めるまで通電期間を延長したと考える。

このとき(←リンク)とまったく同じものを感じる。

2017年8月10日

脳卒中経験とうつの組み合わせで 死亡率激増


Depression Is Associated with a Higher Risk of Death among Stroke Survivors.
2017  8月  アメリカ

脳卒中の3人に1人はうつを経験し、彼らは回復も良くないと考えられている。

死亡率が脳卒中経験とうつの組み合わせでどう変わるものか たしかめてみたそうな。


1982-1992に行われた健康調査から 25-74歳の9919人の記録を解析して総死亡率と脳卒中死亡率を求めたところ、


次のことがわかった。
・1.2%に脳卒中経験があり、そのうち37.1%にうつ症状があった。

・脳卒中経験のない者の17.3%にうつ症状があった。

・25-64歳では脳卒中経験とうつが組み合わさると個々のばあいよりも総死亡率が高くなった。

・脳卒中死亡率の上昇は65-74歳にのみ確認され、

・うつがない脳卒中経験者にくらべて うつがある場合の脳卒中死亡率は35倍に達した。

脳卒中経験にうつ症状がくわわると総死亡率が上がり、とくに高齢者の脳卒中死亡率が非常に高くなった、


というおはなし。
図:脳卒中とうつと死亡率

感想:

こんなにも激しい結果がでるのものなのか。

2017年8月9日

250年前のミイラが脳卒中経験者だったあかしとは


A Unique Case of Stroke and Upper Limb Paralysis in a Mid-18th Century Natural Mummy
2017  8月  スイス

脳卒中の歴史研究において 脳卒中を経験した大昔の人物の標本が手に入ることはまずない。

こんかい脳卒中を経験したことが明らかになった18世紀の遺体がみつかったそうな。

2017年8月8日

脳卒中やったひとは両腕で血圧が違うかも


Interarm blood pressure difference in a post-stroke population.
2017  7月  アイルランド

両方の腕で測定した収縮期血圧の差は心血管疾患リスクと関連があると考えられていて、差が10mmHg未満なら正常で、 特に15mmHgを超えると脳血管障害での死亡率が高くなるという報告もある。

すでに心血管疾患リスクが高いはずの脳卒中経験者についての研究はおおくないので 確かめてみたそうな。


発症後6ヶ月時点の脳卒中患者238人についてしらべたところ、


次のようになった。
・40.3%で収縮期上腕血圧左右差が10mmHg以上、20.6%で15mmHg以上だった。

・高血圧、糖尿病、喫煙、肥満はいずれも 収縮期上腕血圧左右差の拡大とあきらかな関連はなかった。

・アルコールの過剰摂取と 15mmHg以上の差との有意な関連があった。

脳卒中経験者には収縮期上腕血圧左右差の拡大がめずらしくなかった。再発リスクの評価に使えるかもしれない、


というおはなし。
図:

感想:

さっそく測ったら、差が15あった。

ご意見 ご感想はこちら

名前

メール *

メッセージ *