元2020 8月 アメリカ
アメリカでは脳卒中経験者の88%に上肢運動機能の問題が生じ、日常生活や社会参加に影響が及んでいるという。
上肢のリハビリのタイミングや量、非麻痺手の扱いについては動物実験でのさまざまな知見が得られてきた。
とくに脳卒中ネズミの 発症から5日後以降に開始の上肢(前脚)トレーニングでは、非麻痺手の使用が麻痺手を圧倒してしまい麻痺手のスキル獲得を妨げてしまうことがわかった。
そこで、同様のことが人でも起きうるものか実験してみたそうな。
広範に脳を損傷した発症から4.5日前後の脳卒中患者25人と
対照群として脳損傷のないべつの患者12人について、
加速度計を用いた上肢の使用頻度測定をおこなった。
次のことがわかった。
・加速度計によると麻痺手の使用頻度は対照群の非利き手にくらべ減少していることが示されたが、・これは主に両側の上肢使用頻度が44%減少したことによるものであった。・そして代償的に非麻痺手の使用は77%増加していた。
脳卒中のあと早い時期に上肢全体の運動が低下し、おもに非麻痺手の使用に移行していた。このことから、1)非麻痺手の過剰使用による「不使用の学習」の開始、2)非麻痺手のスキル獲得による回復の阻害、の2つの可能性が考えられる、
というおはなし。
感想:
「だから早くにリハビリをはじめなきゃ」と考えて早期リハビリはことごとく失敗した。
脳卒中の早い時期っていうのは麻痺がもっともひどい時期でもあるので、代償行動がおきてもなんの不思議もない。
そしてなにもせずとも「比例回復則」でなおるひとは自然に治る。
治らなかったひとはべつに不使用を学習したわけではない。
時間が解決してくれることもある。