元2020 3月 イギリス
右脳の脳卒中では対側の身体パーツを自分のものであると認識する能力を損なうことがある。
このような「手足の所有感覚の障害」の研究は、身体所有の神経認知メカニズムについてユニークな洞察を提供してくれる。
そこで、これまで健常者の研究でわかってきた身体所有に関する仮説、すなわち優しい触覚刺激(affective touch)がC-触覚求心性神経(C-tactile afferents)を介して身体所有感に特別な役割を果たすこと、について脳卒中患者で確認してみたそうな。
右脳の脳梗塞で四肢の所有感覚に障害のある患者について、化粧用の刷毛(はけ)をつかった前腕への優しい触覚刺激が身体所有感を改善するものか実験した。
まず16人の患者でベッドサイドでの実験可能性を確認した。
つぎに別の患者26人について、
患者自身または実験施行者による優しい触覚刺激を、
C-触覚が最大になる刷毛移動速度(3cm/s)または最適値から外れた速度(18cm/s)で刺激した。
さらに主観的感覚の強度と方向、変動をしらべメカニズムを検討した。
次のことがわかった。
・実験施行者による、C-触覚が最大になる刺激時に、腕の所有感が優位に増加した。・ボクセルベースの病変症状解析(VLSM)では、右の島皮質と脳梁へのダメージがおおきいときに身体所有感の改善が見られなかった。
この実験結果は、優しい触覚刺激が右脳の脳卒中後の身体所有感を改善することを示唆している。身体所有感の背景にある多感覚統合プロセスにおいて優しい触覚刺激が特別な役割を果たしている可能性がある、
というおはなし。
感想:
右脳やられて左の触覚にぶいからわかるんだ。いわんとすることが。