元2020 10月 アメリカ
炎症は頭蓋内動脈瘤の病態生理的に重要な要素として考えられるようになった。
いっぽうアレルギー反応をつかさどる肥満細胞(mast cell)は人の頭蓋内動脈瘤組織から検出されており、その存在は壁内の微小出血や壁変性と関連することがわかっている。
そこで、肥満細胞が動脈瘤破裂に果たす役割と治療ターゲットとしての可能性を確かめるべく実験してみたそうな。
高血圧にしたネズミの脳脊髄液にたんぱく質分解酵素を入れて頭蓋内動脈瘤を誘導した。
動脈瘤の形成と破裂を3種類の条件下で3週間かけて評価した。
1.肥満細胞安定剤 クロモリン
2.肥満細胞活性化剤 化合物C48/80
3.肥満細胞を遺伝的に欠いたKitW-sh/W-shマウス
次のことがわかった。
・クロモリンによる肥満細胞の薬理学的安定化は、動脈瘤形成に影響することなく、動脈瘤の破裂率を著しく低下させた。80%→19%・C48/80による肥満細胞の活性化は、動脈瘤形成の全体的な割合に影響することなく、その破裂率を有意に増加させた。25%→100%・さらに肥満細胞遺伝子の欠損は、動脈瘤破裂率を有意に抑制した。80%→25%
これらの結果は、肥満細胞が動脈瘤破裂の促進に重要な役割を果たしていることを示唆しているが、その形成には関わっていないことを示している。肥満細胞の安定化剤は動脈瘤破裂を予防するうえで役立つかもしれない、
というおはなし。
感想:
肥満細胞と太り過ぎは関係ないから。