元2021 4月 トルコ
主幹動脈の閉塞による脳梗塞では広範な浮腫が起き、頭蓋内圧が高まる。
このとき開頭減圧術が考えられるが、どのような場合にこの処置がより効果的であるかをあきらかにするべく、くわしくしらべてみたそうな。
2014-2019年に中大脳動脈の閉塞により開頭減圧術を受けた患者47人の記録を対象とした。
術後まもなく死亡した患者をA群(30人)、生存患者をB群(17人)とし、関連パラメータを比較した。
次のことがわかった。
・年齢中央値は、A群66.5、B群61、だった。・発症から入院までの時間は、A群4.5時間、B群3時間だった。・入院時の意識レベルGCSは、A群7、B群10だった。・入院時、瞳孔不同はA群の63.3%に認められ、B群には見られなかった。・術後の抗血栓療法を、A群の40%が受け、B群は全員がうけた。・生存率は、60歳未満が61.5%、60歳以上は26.5%だった。・mRSの中央値は60歳未満は4、60歳以上は6だった。
中大脳動脈の梗塞で開頭減圧術を行った患者の転帰と生存には、年齢と治療までの時間がおおきく影響する、
というおはなし。
感想:
気づいちゃったんだけど、
上の表をみると、死亡群の半数が血栓除去術を、70%が発症前の抗血栓療法を受けていたことがわかる。生存群はいずれも数%程度。
つまり血栓除去術をやった15人中14人が死亡している。治療とよぶには成功率がヒドすぎる。
たぶんこういうこと↓。
初見で瞳孔不同があるなど、直感的に助かりそうもない患者が選別される。そしてダメ元の気持ちで手技の練習を兼ねて血栓除去術が試みられるが、術前からサラサラ薬を使用していた患者でもあるので大出血してことごとくが失敗する。