元2021 4月 インド
くも膜下出血の患者は、診断や治療の進歩にもかかわらず、生活の質(QoL)が低い。
生存者のうち元の仕事に復帰できるのは半数以下であり、社会参加がむつかしい。
そこで、これらの患者の転帰とQoLについてその予測因子をくわしくしらべてみたそうな。
くも膜下出血で退院した患者へ3ヶ月後に面談をおこない、
転帰(mRS, BI)とQoL(QOLLIBRI-OS,SF36)について確認した。
次のことがわかった。
・患者143人中、106人から回答を得られた。・いずれの評価項目(mRS、QOLLIBRI-OS、BI、SF36)も互いの有意な相関がみられた。・mRSスケールで中等度-重度の患者は4.7%で、Barthel indexで重度障害は2.8%だった。・およそ3分の1の患者はQoLが悪かった。・QoLスコアのなかでもメンタルヘルスドメインへの影響がひどかった。・QoLの主な決定要因は、入院時のGCS(意識レベル)と退院時のGCSだった。
くも膜下出血では重度の障害を持つ患者は非常に少なかったが、3分の1の患者でQoLが悪化していた、
というおはなし。
感想:
このサンプルは貧しいひとがおおく、入院で家計を圧迫されたせいでQoLが低いようだ。
一般に、くも膜下出血の予後は悪くない。
動脈瘤の破裂は脳の外でのことなのでFAST(顔、腕、口)症状がでにくく、ほとんどは頭痛のみである。そのためおおくの患者は病院にゆかず我慢しているうちに自然治癒してしまう。
意識がなくなるような重症患者のみが病院に担ぎ込まれてくるため 見かけ上まれな致命率の高い病気とされているが、実際はありふれた病気にすぎない。