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2021年11月29日

アンギオ陰性くも膜下出血からわかること

2021  11月  インド


くも膜下出血(SAH)はくも膜下腔に血液が漏れ出ている状態を指す。

SAHのもっとも一般的な原因は外傷である。非外傷性の場合は脳動脈瘤の破裂が主であり症例の85%を占める。

ときおり画像検査で出血源を特定できない場合があり、原因不明(特発性:ideopathic)SAHまたはアンギオ陰性(angio negative)SAHと呼ばれる。

アンギオ陰性SAHの発生率は2~24%とされ研究により異なる。

そこで、アンギオ陰性SAHの90日後の転帰とリスク因子についてくわしくしらべてみたそうな。



三次医療機関の非外傷性SAHの294例のうち、出血源が特定できなかったアンギオ陰性SAHの患者50人を対象とした。



次のことがわかった。

・患者平均年齢は51、58%が男性だった。

・80%の患者が90日時点で良好転帰(mRS1-2)だった。

・ほかはすべて死亡(mRS6)であり、mRS3,4,5 に相当する患者はいなかった。

・高血圧、糖尿病、飲酒、喫煙が転帰不良と関連していた。

・特に、高血圧は独立に関連していた。


非外傷性で出血源が特定できないタイプのくも膜下出血のほとんどは転帰が良好であり、残りは死亡していた。高血圧が死亡と独立して関連していた、


というおはなし。
脳死



感想:

今回のアンギオ陰性くも膜下出血では瘤が見つからないのだから、クリップもコイルもハメようがない。それでも患者は8割がほぼ元通りに自然回復して残り2割すべてが死亡している。


日本は脳動脈瘤の有病率が他国にくらべてぜんぜん高いわけではないのに、くも膜下出血発症率はダントツ世界一で、増加率も世界一↓。



どうやら、くも膜下出血のかなりの割合が脳動脈瘤の破裂によるものではなさそう。


なのになぜ8割以上が動脈瘤性といわれているのか?

これら↓も考え合わせると、




たぶんこういうこと。

診断確認されていないぶんも含めると、くも膜下出血は考えられているよりもはるかに高い頻度でおきていて、そのおおくは動脈瘤のないタイプ。

彼らのほとんどは極端に軽症であり、そうでない者は死亡する。極端な軽症者はもちろん病院へゆかない。為すすべもなく死亡するケースのみが病院に運びこまれる。

運び込まれた患者はすでに即死も同然の状態なのでアンギオで瘤の確認などはせず、「慣習的に」動脈瘤性のくも膜下出血による死亡、としてカウントされる。

ときどき現れる軽中等度の症状で、瘤の破裂が確認できた患者が動脈瘤治療の対象になっている。

こんな感じかな。

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