元2022 7月 ロシア
遠隔地や交通の不便な地方住民は、くも膜下出血になったとき迅速に治療をうけることができない。
彼らには医療搬送が必要になる。
そこで、何段階もの複雑な医療搬送がくも膜下出血の転帰に及ぼす影響をくわしくしらべてみたそうな。
2017-2018年、ロシアのサハ共和国首都ヤクーツクの地域血管センターに入院した動脈瘤性くも膜下出血患者145例の外科治療の記録を解析した。
1回の医療搬送で入院できた患者を第1群、多段階の医療搬送が必要になった患者を第2群、ヤクーツク住民患者を対照の第3群とした。
次のようになった。
・62.8%が航空輸送救助サービスを使って搬送された。・発症から手術までの時間は、第1群は2日、第2群は4日、第3群は2日間だった。・死亡率は、第1群7.1%、第2群8.2%、第3群7.4%で、群間に有意な差は認められなかった。・再破裂の頻度も群間で有意な差はなかった。
多段階の医療搬送で時間をかけて長距離を移動してきても、くも膜下出血患者の治療成績は悪化しなかった、
というおはなし。
サハ共和国
感想:
くも膜下出血の動脈瘤治療は、自然に出血がとまったしばらく後の再破裂を予防する名目の措置であり、現在進行中の出血を止め窮迫した患者の状況を改善させるためのものではない。
しかも、この予防的手術の有効性はいまだ臨床試験で確認されていない。
だから「手術が早くても遅くても結果は変わらない」という報告ばかりが目につく。