元2023 5月 スウェーデン
くも膜下出血は、発症後6時間以内であればCT検査でほぼ100%診断できる。
しかし、出血量がすくなかったり、発症から時間が経っていると、漏れた血液が脳脊髄液で希釈されCTに写らない場合がある。
このようなときは腰椎穿刺によって診断を確定し、その後血管病変を検出するためにアンギオ検査をおこなう。
そこで、腰椎穿刺によってのみ確認されたくも膜下出血の割合と危険因子、長期転帰についてくわしくしらべてみたそうな。
2008-2018年のスウェーデンウプサラ大学病院で治療をうけたくも膜下出血患者1280人の記録を対象とした。
次のことがわかった。
・6%80人がCT陰性で腰椎穿刺によって確認された例だった。・発症から診断までの時間は、3日 vs. 0日で、CT陽性例よりも有意に長かった。・動脈瘤やAVMがみつかる割合は、19% vs. 76%で、CT陽性例よりも有意に少なかった。・腰椎穿刺例ではCTアンギオとDSAとで所見は一致していた。・腰椎穿刺例は、CT陽性例とくらべて再出血率に有意な差はなかった。・1年後、腰椎穿刺例では89%が転帰良好であり、CT陽性例の55%よりも有意に多かった。
CT陰性のため腰椎穿刺によって確認されたくも膜下出血は全体の6%で、これら患者の5人に1人にのみ動脈瘤など血管病変がみつかった。他の例と再出血率に差はなかったがほとんどが1年後の転帰は良好だった、
というおはなし。
感想:
こんかいの腰椎穿刺例では、5人中4人は動脈瘤がみつからないためクリップやコイルの処置を受けていない。
それにもかかわらず89%が良好な転帰を示している。
ひょっとして、くも膜下出血は動脈瘤治療するべき理由がほんとうにないのかもしれない↓。