元2024 6月 アメリカ
動脈瘤性くも膜下出血(aSAH)はしばしば脳血管攣縮(CV)を合併する重篤なイベントである。
そこで、エンドセリン(血管収縮物質)受容体の拮抗薬であるクラゾセンタンの脳血管攣縮,遅発性脳虚血(DCI)、レスキュー療法の必要性の軽減における有効性と安全性、および機能的転帰と死亡率への影響をくわしくしらべてみたそうな。
複数のデータベースを横断して文献検索を行い,aSAH患者におけるクラゾセンタンの効果を評価した関連研究を同定した。
主要アウトカムは血管攣縮発生率、レスキュー療法(血管拡張術や開頭減圧術など)の必要性であった。
副次的アウトカムは機能的転帰、死亡率、有害事象とした。
次のようになった。
・合計11件の研究がメタアナリシスに組み入れられ、8,469人の患者が対象となった。・クラゾセンタンはプラセボと比較して、血管攣縮、DCI、レスキュー療法の必要性を有意に減少させた。・しかし、機能的転帰や死亡率に有意な改善はみられなかった。・クラゾセンタンは、肺有害事象、低血圧、貧血の発生率の増加と関連していたが、肝胆道系有害事象や脳出血のリスク増加は認められなかった。
クラゾセンタンはくも膜下出血患者の血管攣縮、遅発性脳虚血、レスキュー療法の必要性を減少させる効果を示したが、機能的転帰や死亡率を有意に改善することはなかった、
というおはなし。
感想:
最新研究によると、血管攣縮により生じる遅発性脳虚血は予後不良に影響しない。↓
いまだ有効性の証明されていない動脈瘤手術そのものによる悪影響がおおきすぎて、クラゾセンタンの良い効果が相殺されてしまい、機能的転帰や死亡率の改善に至らなかったと考える。
